うどんの国の金色毛鞠 第12話

 けっきょくうどんはフェイクだったの?。
 っつーか、うどんの国=香川と考えると、作品のテーマはうどんそのものと考えるのがそもそもおかしかったのかも。最終回まで視聴してみると、案外良くまとまっていたという印象。主人公の傷の理由とポコとの因縁とか、考えてみればありうる話なのにそこまで思い至らなかったな。前回懸念していた、主人公がタヌキに化かされていたと周囲が認知してしまうというのもうまく処理してた感じ。結論としてポコは主人公の親子関係の修復(といっても父親は死んでいるわけだが)のためのメッセンジャーという役割と見てよいのかな。自分はポコを香川そのものゝメタファーなんじゃないかと考えていたんだけど、さすがにそれは無い感じ。作中で化け狸は子供のまゝ歳をとるといっていたが、普通化け狸は古狸といって決して子供の状態で歳を経るということはないと思うのだが、その点がこの作品のオリジナル(改変)と考えると全体としてそれほど違和感は無い。まぁポコにとっては主人公の懐に入り込めるかどうかゞ最大の難所だが、主人公がポコに愛情を込めて育てる過程を経験することで、主人公の父親が主人公に対してどれだけ愛情を注いでいたかということを悟ることができるわけで、そのへんうまい構成だなとは思った。思ったんだけど、これこんなにきれいに終わってよいのか?、まだ連載中では?と思ってggってみたら、どうも連載が終わったという記述が見当たらないのだが、連載が継続している痕跡も見受けられなかった。それだけでなく、アニメで監督途中降板のゴタゴタがあったことまで目にしてしまい、なんか微妙な心持ち。
 個人的にはやはり主人公がうどん店を継がないのが引っ掛かるが、主人公はノートを託されてはいても技としてうどん打ちを受け継いでいるわけでもなく、作中餅と称されてたぐらいだから少なくとも客に出すべき技術を持ってないので設定上はこんなものかなと無理矢理納得してる。このへん自分の物語に対する期待とか先入観の膠着具合に呆れてしまうぐらい。まぁ別に大局で考えてこの作品を見る必要は無かったかもとは思うが、実際に視聴してみると後半からのじわじわまとまってくるところは結構うまくできていて、視聴して損したとは決して思わない。
 ちょっと残念なのは香川の魅力はこれではあまりうまく伝わってこなかったかなといったところ。実は個人的に香川には数度訪れていて、例えば県庁所在地の駅前はちょっと人が集まる要素はないかなぐらいな記憶があって、そのへん作品で魅力を伝えるのはちょっとハードル高いなという感じ。いやまぁ高松は四国全体を統括する役所が集まっているようなところなんで、そのへんを期待するのは酷な感じはするが。むしろ香川の特色は、やはりうどん県と自称するだけあって小さな製麺所が自前で安く提供している讃岐うどんなのであって、それも一般的な観光地としての楽しみとはちょっと違って難しい。町外れにある製麺所は自前の交通手段がないとお手上げだし、もちろんアクセスが容易なところも十分讃岐うどんを堪能できるのではあるが、そういうのだったら別に香川まで行かなくても本場の讃岐うどんを味わえる店を近場で探せばよいとは思う。たかだか数百円のうどんを堪能するために決して安くない交通費を払うのはバカらしい。が、別に交通費を払って観光地に行ってぼったくられて金を落とさざるを得ないというのよりは遥かにマシではある。
 で、この作品をプッシュしている香川県からすると移住という点ではちょっとこの作品の家族や友人とのつながりという趣旨*1からいうと、よっぽどの好きモノじゃないと人を惹きつけられてないんじゃないかという気はする。で、この作品が観光地としての香川をアピールできていない(とこれは自分が勝手に思ってるだけだが)からダメかと言われると、そんなことは全然なくて、逆に観光地としてこんなに魅力があるんですよアピールを作中でやられると途端に胡散臭くなるだけであり、この作品での屋島栗林公園のシーンを見るにつけ、地元の人がちょっとした余暇を子供と過ごす自然な描写であったわけで、そのへんのバランスはよく取れていたんじゃなかろうか。香川はレオマワールドが一度失敗しているだけに、まぁこの身の丈にあったプッシュはそれほど悪くないんじゃないかとは思う。
 あ〜、そういやこの作品の魅力としてはやはりミミとモモの裸サロペットじゃなかろうか。ガオガオちゃんと青い空がひらけポンキッキとかおかあさんといっしょなどのような実写子供番組だったと考えると、破壊力はかなりのものだと思うのだが。

*1:おそらく主人公のようにコネがないと香川で暮らすのは厳しいという現実があるのだろう。