Re:ゼロから始める異世界生活 第18話

 諸君、私は○○が好きだ。殲滅戦が好きだ。電撃…(以下ry
 あー、レムのこの台詞の部分は既読のはずだが、なんていうか今こうやってアニメで見返してみると男にとことん都合の良い理想的な女性像だなという印象が。視聴者はスバルの一連の行動をシーケンシャルに追っているからスバルの諦めが受け入れられるんだけど、本来クルシュ扱いになってそれなりに平常に過ごしているスバルが突然絶望にとらわれる姿をレムは目の当たりにするわけだからポカーンなはず。つまり後先考えずに突っ走ってエミリアと対立して喧嘩別れしてしばらくはなんでもなかったのが、突然くずおれるわけだからな。とりあえずおちけつ…というのが自然というもの。
 よくわからんのは、スバルがまだ(まぁ試す価値はないとは思うが)治療に専念して屋敷での騒動には一切関わらないという試行をしてないのが一つ。今回のパックの言い分を信じれば、なんでパックがついていながら以前全滅するようなことになったのか、それを考えるとパックの捨て台詞はあんまりでねぇの?というのが一つ。
 スバルが努力をしてこなかったことを悔いるわけだが、本来社会が安定していたら、別に社会システムに乗っかって普通に生きていることだけで十分なのであり、生活の中で見聞を広める程度のことをしていればあとは問題が発生したときに対処するのが小市民としては普通。そしてそういう生き方は中世でこそあたりまえであって、飢饉とか重税(悪政)で生きるのが現代よりしんどい分、生まれながらにして与えられた環境(身分)に従って日々を過ごすのが大半であるはず。そりゃ王侯貴族の贅沢な暮らしをうらやましいと思いこそすれ、現代に比べて身分制を自然に受け入れており、努力でなんとかなると考えるほうが極小なのであって、おそらくそういう価値観で生きているはずのエミリア・ロズワール、レムラムが近代的価値観で何かを語るというのはどうなんだろ?という気はする。が、そういうのはまぁ無粋というもの。ファンタジー世界でありながらその実スバルの生き方を通じて現代の若者に何かを感じ取って欲しい作品であるならば、レムもまた現代的価値観の持ち主であり、スバルのためにどういう支え方が適切(感動的)かという問いかけであるというならばそれもまたよしではある。
 が、しんどいのはスバルの在り方で、なんともスバルは死に戻りを繰り返して自分を努力しない人間と責めるわけだが、これがおかしい。これスバルはレムの好意を当てにして感情を吐露したと考えるしかない。吐露無し一緒に逃げるか、吐露あり別れるの二択が自然。そもそもレムの好意を当てにしないのなら一緒に逃げようという提案はない。しかもレムの鼓舞で目的が復活してレムと一緒に逃げるというのを撤回してエミリアが本命と告げてレムを振るとかいやいやそりゃないから…。努力云々の次元ではないというか、あんた人間舐めてるでしょとしか。そもそもレムはこの段階ではロズワール邸に忍び寄る危機について予感も何もないはずであり、何のためにヒーローであれというのか意味不明。ヒーローであれというのならばなぜ以前スバルが茫然自失してたときに言わなかったのかとか、もうね。
 やっぱ死に戻りの処理がうまくないと思うしかない。どんくさくともスバルが普通に努力をしていることには間違いないんだから、それが結果的にうまくいかなかったとしても、それをレムが見守りもし、脇から心が折れそうになっているスバルを支え〜の今回の台詞であったら普通に感動させるでしょ。今回のセーヴポイントでは死に戻りをしないと魔女教団や白鯨、パックの変身のことは知りえなかったし、かといってスバルの行動は後先考えないものであって、そのへんのちぐはぐさよな。死に戻りを告げようとしたらそれはチート行為として罰が与えられる*1が、かといって死に戻りで得られた知識を活用するのは構わないという矛盾。で、それらは現代社会における理不尽さを現したものであると思われるが、その理不尽はやり過ごすことができるというはちょっと考えてみるとおかしい。理不尽はなんとかできないものだからこそ理不尽というものであって、基本「耐えるしかない」もの。なんとかできるものだったら、それは所詮「課題」程度のものであって、ならば重苦しく扱うべきものでない。前回死に戻りをエミリアに告げようとしたら、スバルが苦しむのではなく、エミリアがコロリといってしまったところは、あっけにとられるしかなかった。あまりに唐突だったので笑ってしまうところだった。これWeb版を読んでたときはもうちょっと緊迫感があって、「あ〜その手があったか」ぐらいに思えていたのだが、アニメにしたら滑稽(スタッフの演出だと思うのだが)にしか見えなかった。スバルに死に戻りを課している「監視者」は、監視者なりの何かの基準があってそれに従ってスバルをコントロールしようとしているのならまだわかるのだが、後付け後付けでスバルをイジメるのでなんというか運命とのやりとりって感じがしない。なんというか我侭な子供がぬいぐるみを扱っている感じ。
 でもまぁなんというか、自分達は自分に甘い法律を作ったくせにその法律すら守らず、庶民には法に想定していない基準でいろいろ強制させてやれ法治国家とかいうアベやスガなんて実例がわんさかあるので*2、なんとも事実は小説より奇なりを地で行くといえばそうなんだが。

*1:死に戻りを告げて、仮に彼が死んでもその世界では彼が死んだまゝで時間が進む。彼だけがやり直しをさせられて彼以外はスバルの死に戻りの影響を全く受けない。彼が死に戻り以前の事柄を話してもそれは戯言として相手にされないだけの話。

*2:当然この小説の公開はアベ二次内閣以前だからそれらの風刺というものではない。まぁブラック企業は普通に世間的に認知されていたのでそういうのゝメタファーといえなくもないが。