フリージング ヴァイブレーション 第4話

 なんか、やたら切ないな。
 韓国ドラマが日本のトレンディドラマの後追いってのをよく聞くんだが、これもそうなんだろうな。お互いを尊敬だとか、任務に忠実だとか、義憤に駆られてだのとか、一昔前の要素がみっちり。正直、こういう作りってかなり自分の好みではあるので嬉しいというか、なんか懐かしさがこみ上げてくるというか。結局日本はバブルでやらかし、バブル崩壊でやらかし、その後の失われた日本の四半世紀でやらかして、上層部がまったく信用ならないものってのが決定的になったし、むしろ上層部は下層を切り捨てゝ保身を図るってのが定番なので、今世紀に入って日本のアニメは現実逃避型になったというか、いやそれでも製作者の側ではなんとかメッセージを伝えようとしているのはわかるんだけど、受け取る側のほうで現実に疲れてしまって、物語を読み込む手間を惜しむようになってしまったというか、めんどくさくなってしまったというか。
 リズの義憤はバブル崩壊後、末端の社員を切り捨てゝ逃げ切りを図ってきた経営層の尻拭いをしようとしてた中間管理職っぽいんだよな。その後の日本が経験したのは、そういう中間層がなんとかしようとしても、政官財の上層部が何をしてきたかといえば、「中流層の切り捨て」だったわけで、結局中間層の努力は美味く上層部に吸い上げられて全体として効果がなかったというか、格差拡大という形で社会全体が落ち込むことになった。しかもその怒りを集約して立ち直ろうとした民衆の力を民主盗が利用して特権階級への成り上がりに利用され、さらに事態は悪化することに。それを韓国サイドがどのように理解してるのかな?というのが一つの視点。
 ヘンな話、メイブリーの義憤が上手くいったら上手くいったで、それは日本の反省をふまえたものではなく、現実味の無い解決策を提示されるだけであるような気がする。この作品で描かれている「スキルを磨けばお互いが尊敬し合える存在になれる」ってのは、今の日本で仮にスキルを磨いたとしてもそれが良好な企業内での関係構築には“全く”繋がっていないという現実があり、また、学校社会でも個々に応じた教育だのオンリーワンを目指すだのいっても、結局のところイジメがなくなる方向に行くどころか、慢性化しているだけなので、それに対する解答を韓国サイドが持ってるとも思えないんだよね。
 だから、こういう作品に意味がないのか?と言われゝば、うーん、意味がないとは言えなくて、でも、日本人にとっては懐古以上の意味があるのか?と言われると、大半の人間にとっちゃぁそうなんだろうなと思いつゝも、しかし、何らかの違う方向性を見たいという我儘な視聴者の意見を一つ出しておきたいというか、いや、贅沢なんだろうなと思いつゝ。少なくとも大事な視点を思い出させてくれたって役割は果たしていると思いながらも。