放浪息子 第10話

 はしごを外されるとはこのことか?。
 二鳥が「世間」とやらに打ちのめされる話。いや、結構面白いな。初めのころはゆったりのんびり系のお話かと思ったんだが、社会通念とやらにこゝまで踏み込んでくるとは。コレ、萌えアニメだったら二鳥は違和感無く受け入れられているよね。で、二鳥が女装するときに何人かに相談してたが、これ、ふた昔前だったら全員が必死で止めてたハズ。で、それに近いことをしてたのが高槻だけなんだよな。なんつーか、多様性の確保だとかさまざまな価値観の需要だとか口先だけキレイ事を言っても、結局苦しむのはそのキレイ事を言ってる本人じゃないんだよね…という現代に対する皮肉を感じずにはいられなかった。
 ま、二鳥の女装トリガーを引いたのは更科に土居に高槻ではあるんだけど、漢なのは更科だけだったな。土居も悪気はないんだろうけど、なんか能天気というかボーっとしてるというか。視聴者という第三者的立場で土居を見るとたいしたことをしたわけでもないように思えるんだけど、二鳥の立場で見ると土居はホント当事者意識が無いというか、凄いイノセントであって、「キライだ」という台詞でなるほど二鳥の苛立ちがよくわかった。
 で、高槻が告白され、それを千葉に見咎められる場面がまた秀逸。高槻もまた土居とは違った意味で薄らぼんやりしているというか。なんか千葉のほうがよく見据えていて、さすが二鳥に惚れ込むほどのことはあるわと感心した。今のところ千葉が一番二鳥の理解者のように思えるんだけど、なんだろうな?、凄くめんどくさそうなんだけど、二鳥とくっつけばかいがいしく尽くしたりするんだろうか?とも思えてしまう。
 しかも中学生なんて未成熟な子供なんだけど、その無邪気さというかやっぱりイノセントなんだけど、そのバカさ加減の破壊力がまた強烈で、しかもそれに一定の権力があってという現代病理がまたむき出しになってゝなんとも残酷な回だったねぇ。