伝説の勇者の伝説 第25話

 要するにシオンは、ドイツ経済を復興させて人気を得、その後欧州大戦に導いたヒトラーに喩えられているのか?。
 しゅーりょー。最終回としては、「オレたちの戦いはまだまだこれからだ」エンドだった。で、勇者の物語とは乖離していたように思う。まぁまずシオンの背負っているものとやらが見えてなかったから、どうにも共感しづらい。シオンがライナーを喰い物にして永遠の苦しみを与えるよりは、殺してしまって楽にするところで悩んでいたが、こゝの苦悩がいかに辛いかの説明がないので視聴者にはわかりづらいんではないだろうか?。
 楽しみにしていた女の扱いだが、期待していたのとは違ってた。キファとは口も聞かずにチラ見で別れたし、ミルクは凛々しい姿だけでライナーとの絡みが見られず残念。で、メインヒロインに化けたフェリスもせっかくの感動の対面でよゝと泣き崩れるところに情念が感じられなかった。まぁさすがに他の二人との兼ねあいからもフェリスとライナーの絆を硬くしすぎるわけにもいかんわな。最終場面でフェリスの服の色から赤が抜け、淡白になっていたのもなにかの意味が込められているんだろう。
 さて、全25話を見終えて、結構な充実感は味わえた。実は視聴を開始した当初はあまり期待していなかったのだ。タイトルからしてウケを狙っているのか?と訝しがっていたぐらいで、コメディ要素がウリなのかと思っていたのだ。が、結構真面目に弱者視点を取り入れて、理不尽な社会と真っ向からというわけでもないが、肩の力をちょっと抜きながら向き合っていくという立場はファンタジーにしては馴れやすいと感じた。ドルアーガの塔A&SofUも主人公は気張っていて、付き合うのに疲れる感じなのを、ヘタレさせることによって緩和していたような気がするが、こっちはもっと気安く向き合える。が、ライナーに与えられたアルファ・スティグマという能力の凄まじさが、本当の弱者からはかけ離れており、これが残念と言えば残念。が、能力がないと瞬殺されて物語は終わるもんな。
 が、やはり一貫してマイノリティに対する悲痛なまでのまなざしがあったおかげで、こゝまでやるか?と思いながらも深く切れ込んでいく様には圧倒された。ルサンチマンを抱えた人たちばかりが登場するわけで、フツーは痛々しさに見ていられなくなってしまったりするのだが、そういうのはうまく避けられていたよな。かといってキレイ事を叫んで終わるわけでもない。こればかりは特筆すべきだろう。ギャグはスベっていたが、本筋の芯はしっかりしているように感じた。
 というわけで、わりと見始めるとのめりこむが、見始めるまでが億劫という作品なのかと思っていたが、そうではなく、次が楽しみであった。雰囲気的に次期はなさそうなんだが、これはちょっと続きを視聴してみたいレヴェルではある。風呂敷をたたんでいないのは、途中だからなのではあるのだが、決して出し惜しみしているようにも見えないしな。なんでだろ。たぶんあまり人気が出なかった作品だろうと思うのだが、結構お気に入りに近いものがある。おもろ+。