セキレイ Pure Engagement  総評

 この作品って前期もそうだったんだけど、そもそもが巨乳を売りにした徹底的な視聴者に対する媚びを利用した萌えアニメなんじゃないかと思っていたのだが、主張や情緒の部分がしっかりしているので面喰う。まぁ正直魅力の無い女に言い寄られて奮起する主人公を見たいとも思わないんだが、こうまで露骨な造形かね?とかいうのも頭をよぎる。
 ラスとバトルはさすがに除くのだが、もたもたした展開やストレスフルな擾乱も、クライマックスに向けた演出という意味ではかなりよく出来ていて、しかもかなり説得性が高いんだよな。前にも言及したと思うんだけど、ほとんど毎回視聴者に対しての問いかけや提示がなされ、それに対する回答というか提案ってのがなされていたので、かなり視聴後感がよかった。手抜きの回が無いと言ったらいゝかな?。まぁ、原作がそうなっているとは思うんだけど。
 競争を煽られて仲間もしくは仲間になりうる者たちで同士討ちを強制させられているのが昨今の日本の情勢と酷似しており、その中で絆の大切にするという主張は結構届いたんじゃないかと思う。おもしろいのはPure Engagementという表現で、Engagementってのはこの作品では絆と訳すべきなんだろうけど、たぶんこの副題をつけた人はかなり強く「契約」という意味を込めていると思う。これ、フツーの恋愛モノだったら、Pure Destinyとでもつけるハズ。あちらでも恋に落ちることを「あなたとわたしはこうなる運命だった」と、赤い糸さながらの絆表現をするんじゃないかと思うのだ。でも違う。皆人もそうなんだが、セキレイたちも感情に溺れていちゃいちゃすることがない。複数のセキレイがいるからこそでもあるんだろうけど、皆人はすべてのセキレイに公平にあろうとしているし、セキレイたちも抜け駆けとかせず正々堂々とした愛情表現を皆人に投げかけている。そこには理性があり、暗黙の了解・義務を果たそうとする姿が見てとれる。これはやはり契約に近いといわざるを得ない。月海なんかは皆人を独占したいと言ってはいるが、その実独占していない。天然っぽい結ですら、嫉妬をする描写があったわけで、人間の本質として皆人を独占したいのはみんな山々なのに、それをしない。で、皆人の理念に対してどのセキレイたちも協調を旨としており、だからこそ理想的な絆という表現が出来ているのだと思う。まぁ実際だとこうはいかないだろうけどね。まぁ理想の職場(組織)論にも触れる事は出来るんだけど、個性豊かなセキレイたちの協同作戦を見てたら一目瞭然だよねと。
 とまぁ、実は自分的にはかなり毎回楽しませて貰ったという記憶が多い。お遊びの回がなくても、十分に楽しめるんだよな。水着で泥相撲の場面もあったけど、一瞬だったしなぁ。まぁいつもムチムチした可愛い娘っ子が戯れてたらその必要もないか。最後を除いてハズレなしの良作ぐらいの評価だ。お色気表現はオタ臭くなく、表現を工夫したらもしかすると視聴者層を広げられそうな気もする。おもろ+。