セキレイ Pure Engagement 第11話

 自力でタワーに来いってのは、皆人だけってことじゃなかったんだ。ま、エサなんだから、セキレイを引き連れて無いと無意味だがな。
 うーん、結構面白いな。話としてネタ振りは単純そのものなんだけど、要所要所でのメッセージはちゃんと埋め込んでる。皆人グループも大概抜けていると思うんだけど、よくよく考えてみれば誰もが感心するような見事な手段で華麗にミッションをこなされてもつまらんわな。誰も彼もが欠陥の無い超人で出会い頭にバッタバッタとなぎ倒すのでは意味が無い。類稀なるセキレイでも欠点はあり、それを他のセキレイ(もしくは葦牙)がカバーすることで目標に近づく。欠陥があるからこそ協力し合わなくッちゃぁならなくて、無ければ一人で勝手にやれということになる。そしてその協力体制ってのは葦牙の理念…というかその理念はセキレイたちの想いの集合体でもあるんだけど、…を基に一つにまとまっているワケだ。
 しかしなんだね、皆人も律儀というか考えが足らないというか、いくら千穂を助けるためとはいえ、氷蛾から病気の進行を止める情報を貰ったのだから、それで治療を続けて様子を見ればいいのにな。千穂は鶺鴒計画からは脱落したわけで、戦いの場から退避して安全な場所で治療法をのんびり待ってくれさえすればそれで十分だというのに、早急な治療を皆人は求めている。いえね、まさにだからこそなんですよ。大事な戦いはあれど、目の前で困っている人に救いの手を差し伸べる皆人だからこそ、セキレイが彼に従うってのがなるほどであるワケだ。
 氷蛾もアレだな。たくさんのホントウの中に少々のウソを混ぜるってのを忠実に実行しているよな。自分が以前述べたとおり、別に葦牙としての負担が嫌なら降りればいゝだけなのに、たいした被害者面。セキレイを使って得られる利益・特権は離さずに、この言い分は…と考えると、なかなかの策士ぶりではある。で、皆人は決して氷蛾に心を許しているわけでもないのがね、憎いですわな。
 今回ある意味ズッコケたのだが、皆人が自らエサとなることでおびき寄せられた弱小勢力の葦牙様御一行なのだが、皆人が戦うべき相手じゃないと主張したのにもグッと来た。来たんだけど、実際どうするのか?という段階で考えが止まってた。で、バイクのにーちゃんの登場ですよ。このにーちゃんのおかげで皆人が先に進めた。普通はこの場面は非常に重要なわけでじっくり描写しなければならない。が、こういう手段で状況を吹っ飛ばすとは思っても見なかった。確かに問題を直視することから逃げてはいるんだけど、こゝでうだうだするわけにもいかないから、物語としていゝふっ飛ばし方だとは思った。
 いやいや、しかしだよ、やっぱユルいわな。なし崩し的に前進できてしまっているのはどうなの?と思わなくも無い。焔も凍って倒れてたけど、次回予告では元気に走っていたからあの危機を乗り越えたんだろ?。そんないゝ加減なことでいゝのかと思ってしまう。からくも逃げおおせたって描写に今一説得性が無いんだよな〜。
 しかし、冒頭でも述べたとおり、このシリーズが始まってから今までずっと、物語の主張のキレが途切れないんだよ。物語を進行させるためにとにかく状況を流すってことが無い。ちゃんと主張するための状況を作り、視聴者に毎話問いかけているんだよ。で、1話の中で主張するテーマは混乱しないように整理されており、じっくり考える間も取られている。共感を求めた上での問いかけだから、こちらも考えざるをえないんだよな。タゞのお色気アニメで終わってないところに非常に感心させられる。