WORKING!! 第2話

 伊波のパンチの効果音が、これまた容赦ないの。
 ビックリした。冒頭からの伊波の暴力描写が、視聴者のストレスを容赦なく誘うのだ。こんなんでいいのか?とこちらが心配するぐらいだったのだが、結構計算されたバランスのようなのだ。
 小鳥遊がもろ、サンドバッグ状態なんだが、視聴が進むにつれ、むしろ彼は伊波にとっての安全弁だということがわかってくる。伊波の客に対しての恐怖、長いつきあいであるはずの佐藤に対しても客と同じような恐怖がある。殴るという実際の行為が小鳥遊になされるにしても、彼女の男恐怖症は実は分け隔てないのがわかる。で、伊波は小鳥遊に対しては会話が成立しており、むしろ初めの状態にしては距離が近いようだ。好きな人の話を聞いているようだとぽぷらが言う通り、無意識下での興味?はあるようだ。
 あまりクローズアップされてはいなかったように思うのだが、今回面白かったのは、あれほど序盤に伊波の暴力描写が盛大だったのに、客へ「お殴りしてもよろしいですか?」との台詞を吐いた伊波を小鳥遊がひっぱっている場面で、殴る行為がなかったこと。これ、ちょっとは改善されたのかな?と思っちゃったんだよな。でもやっぱりその後の描写で伊波は殴っているから、あぁと思うわけなんだが。なんか自然にどうにかなってた、めでたしって流れにはなってない。
 で、今回のキモはやっぱり店長だろう。前回も従業員を守る店長の姿が自分の目には好意的に映っていたのだが、今回はむしろ組織内処理のうまさかな。小さなもの好きが欠陥に当たるのかどうかは別にして、余計な一言の多い小鳥遊や対男性暴力症の伊波、刀を下げてる八千代や客に舐められがちのぽぷらなど、対人商売にしては結構致命的な欠陥を抱える従業員をうまくいなして仕事に取り組ませている点。まぁこんな店ありえないってのは大抵の視聴者の思うところなんだが、これ、フツーのファミレスなら、マニュアルに従え、従わないなら辞めろが定番だろ。で、この作品ではそうではない。伊波の殴り癖はさすがに何とかなったほうがいゝとは考えているようだが、即刻なんとかしろという態度ではない。それどころか、むかつくやつは男女問わず殴るぞと、小鳥遊をいなしている。伊波の対応のまずさを店長がやるべきと小鳥遊は言っているが、アレ、八千代が世話好きなのを把握していて任しているんだよな。むしろ杏子は店長として本質を知っていて、ちゃんとリーダー*1としてもマネジャーとしても一番やるべき仕事をしているワケだ。で、やっぱ面白いのだが、これ、店長がそういうのをやるべきことだと思って意識的に振舞っているって描写じゃない。杏子の性分から滲み出る行為や台詞が結果的に組織に上手く働いているって感じかな?。気がつく人は気がついてくださいって態度なんだわ。
 ワグナリアの評判なんだが、常連客が居るってのはわかる気がする。これ、礼儀を知った客は安全だし、店の手違いがあったとしても、必ず穴埋めがなされるだろう。むしろ迷惑な客に対しては店が毅然とした態度を取ってくれるわけで、これって、理不尽な客が撒き散らす迷惑を、礼儀を知った客が我慢せざるを得ないってことがないわけだよな。理不尽な客が寄り付かないおかげで、安心できる店になるわけだし、トラブルがあってもそれはイベントとして楽しめる。
 さて、序盤はストレスとまで感じた伊波の暴力描写の激しさなんだが、これって、視聴者に手加減した強度だったら、なぁなぁになってしまう。激しいからこそその伊波を使いこなす杏子の手腕が輝いて見えるわけで。

*1:一時期、痔民党あたりから、どんな無茶でも部下に押し付けて事業を遂行させる強権力がリーダーシップだって勘違い言説がばら撒かれたよな。