ん？、続編を作ろうと思えば作ることのできるENDINGだよ。
で、こういうエンディングはなんかいいネ。ハルキの処遇はなんかスッキリしないのだが、そこはそれ、理想を語らない現在の政治屋へのプロテストなわけで、こんなもんかねと。顛末もマスコミが真相を報道ってことでなんか釈然としない。軍の捏造に協力しているのに、軍ににらまれている連中の肩を持つかね？。でもまぁそこは真相が明らかにならないと物語にならないわな。
今回割と面白かったのが、オペレーターサクラコとサイキのコンビネーション。目が見えないサイキをサクラコが口頭でコントロールするのだが、まぁ通常ありえないわな。が、この作品全般に言えることなんだが、物語のテンポに細心の注意が払われているらしく、サクラコの指示とそれに反応するサイキの合いの手ぶりに違和感が無いため、見とれているしかなかった。まぁそれだけサクラコも熟達してサイキとの相性が良くなりましたよって状態を示すものにもなっているわけだが。
ウラのマニューバロイドとの戦いも割と迫真だった。サイキのそれは型遅れで、パワーも劣るし防御でハジかれるってのは権力側との力の差ってメタファーで、ここは素直に感心した。言葉でコントロールするってのも、基本権力者は自分の手を汚すんじゃなくって、人に命令して目的を達成するってことだろ。もちろん末端の現場はあくまで自分の手で色々変えていかなくっちゃならないわけだが。それが最後のハルキの立ち位置にも関係してくるんだろう。お坊ちゃんでありながらちゃんと末端の嫌われ仕事をして現場の苦労を知っているって経験。あとプロトタイプのシステムがすぐダウンするのがよくわかんなかったな。
アゲハの見せ場が期待していたほどじゃなかったな。確かにキーボード操作に長けていたらハッカー風に見せかけることができるってのは良くある手法なんだけど、B.P.S.にもあったように、普通はプログラムを先に作っておき、実行の際はタイミングを見計らうだけだろう。本当に必要な分岐の時だけそれを指示するだけで、基本自動化できるところは全部自動化するのが、それこそ現代のコンピュータの利点であろうしな。優れたプログラマーというかハッカーは、刻々と変化する状況に対応して数々のプログラムを、時間の効率化を図りつゝ、絶えず作り出しておき、保険だけでなく、保険のための保険や、それこそ今回のストーリーではないが、囮のプログラムでめくらましなんてのも同時実行するわけだろう。まぁ精神的ショックでそれどころではなかったといえばそういう見方もできるんだが、なんか凄腕のハッカーって感じではなかった。ウラのマニューバロイドがシステムダウンするのは、電力供給ラインや通信手段などを使ってウィルスプログラムをアゲハが仕込んだんじゃねぇの？と度々思ったのだが、そうではないらしい。
まぁ最期の見せ場である、ウラへの射撃なのだが、これもなかなかにして胸にキた。現在の日本の特権階級の悪事を今は見て見ぬフリをしているが、その償いもせず調子に乗ってると刺すぞってな願望なんだと思うがね。サイキはモノはあまり言わないが、やるときは全力を尽くしているわけで、これは一時期流行ったサイレントマジョリティという記号なんだろう。
さて、視聴し始めたときは結構ドン臭いというかB級っぽさ全開で、なんとも戸惑う印象を受けていた。ストーリーテリングの手法としてもオーソドックスそのもので、型に嵌っている感じがする。ハードボイルドを気取っている割にはかなりウェットで、そりゃ今の世相を見渡して見るとドライに描かれてもなんだかなぁではあるが、一貫していないというか日本的というか。メカの描写も、動きに特筆すべき点は結構あるのだが、各シーンを繋ぎ合わせた時の擦りあわせが今一で惜しいというか。
それでも見つづけていると、先ほども述べた通り全体を通してのテンポがかなり良く、台詞のコンビネーションにストレスを感じさせるところが全く無い。で、どうも末端の現場に対するペーソスというか共感が心に染み入る構成で、これがなんとも心地良いんだわ。ちょっと揺らし気味ではあるんだけど、結論で理想に重きを置いていながら、理想と現実のバランスがとれているような気がして、視聴後感は決して悪くない。カタルシスもきちんと持ってきていて、メリハリはついており、思ったより秀作なんじゃねぇの？という気がした。少なくとも自分はかなりツボにきた作品だ。おもろ＋。
いやぁ、サイキが言っていた｢オレに見えているものは｣ってものが、視聴者にわかるようになっており、サイキ側について一生懸命に行動していたサクラコがなぜサイキの見ていたものすべてが見えていたわけでない…ってのも作品全体を振り返ってみるとちゃんと納得できるようになっており、そういった点で続編はないんだろうなとは思うんだけど、生き残ったキャラを取捨選択して続きは作れると思うんで、なんか見たいなぁと思ったり思わなかったり。
