夜桜四重奏 第11話「キミノマエ」

 うーん、描写し切れてないんじゃ。
 円神との最終決戦っぽいのに至るまで。さんざん寝てろと言われていたのに出動可能とか、そういや回復力云々はあったなとは思うんだけど、なんか騙しっぽい。町長は愛されるべきというのは確かにそうなんだろうけどな。トップが野良仕事を主任務にしてちゃダメだろというのはね。
 で、町民も立ち上がる姿も確かにそうしなきゃなんないんだが、町民が町や町長を愛する・守るという描写が弱い気がする。しかしこれらを全部尺のせいにしていいのかな。
 松尾監督作品ではレドガに紅と、途中から気が付いてチェックしてしまっているが、概して好意的な評価をしていただけにどうもこのやっつけ仕事っぽい出来は違和感を感じる。前2作品は、特に追いつめられたキャラが自分を生きるためにもがく姿が、この豊かではあるがしんどい時代にはとても合っている気がして、厳しい主張ながらも共感できるような気がしていたのだ。
 自分が原作及びスタッフの意図を読み取れていない可能性は高いのだが、どうもこの決意がヌルい作品は、松尾監督のそれまでの作風を期待していた自分にはどうも肩透かしを食らったような気がしてならない。もちろん日常を描くにしても、今回はギスギスしたものではなく、組織員が穏やかに長いときを過ごす必要があるので、殺伐とした描写は避けられるべきにしてもだ。浪花節的な部分も日本をテーマとしているだけに要素として必要だったのだろう。パーツ自体は間違っているわけでもないと思うが、どうもパチリと嵌る感じがしないんだよなぁ。