タイムは1セット2回じゃなかったっけ?。昔は3回まで許されていたのかもしれないが。
まぁ実のところ、3セットマッチで、最終セットで相手の攻撃を見破って反撃まで出来るってのはウソっぽいのだが、まさに両チーム死力を尽くした戦いって感じで、もう全ての感情入り混じりで鑑賞してた。困難を乗り越えるためのスキームが余すところなく描写されていて、またそのテンポがよいものだから参ってしまったよ。
- まず相手の観察分析に注力する。この際自分のことは無視。相手のことがわかっていないのに机上の空論をかざして対応を図ったり、むだな精神論は徹底的に排除。本当なら観察・分析のための時間稼ぎが入るところだが、やろうにもそれは出来ない。
- 分析が終わっても有効な手法が見つかるまでは無謀な突撃は避ける。あくまで相手の対応を見つつ、対応策を見つけることに集中する。試行錯誤も欠かさない。
しかし、なんといってもチーム全員がクールさを保ち、理解力を持っているというのがネック。ナカや石松も、「端だけを見ろ」という具体的な指示を受けただけにもかかわらず、その指示で理屈を理解したというのはなかなかのチームである。上意下達型のチームだと、動作は完璧でも、ちょっと想定外のことが起こっても組織は瓦解する。むしろ独裁型のリーダーシップだと、各構成員の独自の判断を奪うために、臨機応変さに欠ける。
あとは各個人の基礎的な技術力が高いってのも忘れちゃならないポイントだわな。いくら見破っても技術そのものがなければ意味が無い。寺堂院は必殺技を軸にしているわけで、その対応策がとられてしまえばあとは基礎技術の対決になるというのは前回述べたとおり。必殺技を絡めないと得点に繋がらないとなったら、攻撃の幅が狭まってしまうわけで、相手に読まれやすくなる。あったらあったで攻撃の幅が増えるが、数ある手段の一つにしてしまわないと、かえって硬直化するわけだ。まぁある意味富士見対福岡で、垣之内が「ぜったいこずえがアタックをしてくるだろう」と読むのも無理はなかったわけだ。最終局面で寺堂院に4番が入ってくるだけで、富士見としてはその4番に注目すりゃいいわけで、まぁなんともわかりやすいわな。
しかし桂を集中攻撃ですか。力押しって印象は受けるけど、あんまり卑怯って感じはしないわな。ここでズルだと萎えるけど。寺堂院が決め技を最後の最後までとっておいたのもなかなか。中学のときにこずえが対垣之内のために、太陽光を利用してスパイクを決めたのと同じ効果を狙ったんだろうな。
しかし、なんといっても富士見高校が勢いを駆ってイケイケのプレイをしていないのがすばらしい。今の時代のバレー中継なんて男女問わず、解説者が「波に乗る」とか言っちゃっているわけで、なんとも隔世の感があるわな。勢いに乗るって要するに精神論だろ。