賞金1000万クローナ(約1億4000万円)は、半分を南部氏、残りを小林、益川両氏が等分する。

 ちなみに化学賞の人は国籍は日本だが、アメリカ在住。今日もラジオで早速日本の研究予算・設備投資の貧弱さが話題になっていた。アメリカ合衆国は科学に予算を投入するからこそ賞が取れるのだと。で、結局物理学賞・化学賞の賞金の¾が日本に流れてこず、アメリカ合衆国に流れるようだ。ま、アメリカの潤沢な予算で日本人がノーベル賞を取れたというのは事実だるから、ある意味当然だわな。つまり、一億にも満たないはした金で、インド洋での無料ガソリンスタンドを日本にさせようってわけだ。
 物理学賞をとって、日本に居残った二人は名古屋大学出身らしい。で、そこを追い出されるように他に移ったらしくて、なんとも名古屋大学の狭量さが窺えるようでなんだかなぁですよ。で、行った先は京都大学なわけで、ノーベル賞輩出の素地はやはり京都大学ですかといった感じ。
 しかし、日本を科学立国にするつもりなのかね?。正直これだけ合衆国のサブプラの影響をマトモに喰らって、企業に研究を促進するだけの余力なんて無いと思うんだが。研究以前に会社がこれからウソかというほど倒産しそうなんだがどうだろ?。本当に科学技術を振興するつもりなら、原資がいると思うが、
 日本の国家予算は232兆円?

 千数百ページに及ぶ財務省の予算書の科目をひとつひとつ仕分けし、国家予算の全体像とその使い道を明らかにした。2003年度予算における歳出(支出)は一般会計81・8兆円、特別会計199・7兆円。これらを連結して重複部分を除いた国家予算の歳出合計は232・6兆円となる。このうち、社会保障給付や義務教育負担として国民のために使われているのは60・4兆円。残りは国債などの債務償還、地方交付税交付金、国家公務員の人件費や経費などに使われているが、歳出合計の7%にあたる15・3兆円は官僚の天下り先の特殊法人、独立行政法人、公益団体に補助金として流出している。

 ここだろうな。でもまぁこのカネは自民党がすっ転げた場合、取り合いになると思うんで丸々使えるというわけでもないと思うが。
 あとは人材だろうな。これはこのグラフを見ると笑えるほど明らかなのだが、
 学力の二極化ますます深刻
 はっきりわかるぐらい二極化している。なんというか、「やさしい問題に絞る代わり、全員が解けるように」というゆとり教育の目的と全くかけ離れているわな。正規分布のグラフは、普通偏差値50の位置を頂点とし、左右になだらかに裾野が広がる山形をしているわけだが、既に2002年の段階で、山が3つに分かれている。中間層のうち、勉強しなかった層が学力低下し、左の一つの山を作り、勉強した層が学力向上し右側にもう一つの山を作っている。まだ真中に山が残存しているのだが、学力の二極化の遷移状態になっている。で、たった3年後の2005年には真中の山が消失し、学力低位層と学力高位層にはっきりと分かれてしまっている。昔は普通の人間が多数いたのが、今では全く消失し、凄く使える人間か、全く使えない人間しかいないということだ。
 学力調査結果から見える高校生の実態と対策は、2002年と若干古い資料だが(ゆとり教育より一つ前の“興味関心重視の教育”の世代)、それでも見出しを抜き出してみると、

  • 上位層と下位層の学力格差はますます拡大
  • 英語の正解率は上昇
  • 低下率が目立つ文系志望者

 となっている。これはどう考えても理系向きにもっていくのは至難の業だ。
 学力高位層と低位層に二極化しているのなら、低位層は捨てて高位層を伸ばせばいいじゃないかという話もあるが、たしかに低位層に金を投入するのは無駄としかいいようがないが、高位層も本当に開発力のある人材が育っているのか?と言われれば、疑問だ。
 エンジニアと「ベーマガ」について

それぞれについていろいろありますが、ここで言いたいのは「ベーマガってすごかったな」ということです。かくいう自分もベーマガ世代。当時はFM-7のページを開いては一心不乱にゲームを写してはデバッグして、動かして感動して、そして改造して、とやっているうちに気がつくとBASICを覚えていました。

 今の学力高位層って、こういう体験をした人って劇的に少ないんじゃないかな。机上の空論とは言わないまでも、解けることが既にわかっている整形された問題の処理能力はずば抜けて高いかもしれないが、カットアンドトライの経験が無いと、擾乱要因がたった一つあったとしたら、とたんに思考が止まってしまうかも。結局キレイに整備されたサーキットしか走れないF1カーみたいなもので、公道で数十メートル走って壊れてしまうとかそんな人材ばっかり育っているんじゃなかろうか?とは思う。ただ、ゆとり教育の目玉であった総合的な学習の時間は、低学力層にとってはただのお遊戯の時間になり下がって、その分学習時間が減ってさらに学力が低下した原因となったのとは裏腹に、学習内容を先取りして飛び級してもおかしくない高学力層にとっては、自分が身につけた知識のいい実践機会になった場合が多いらしいので、使える高学力層がそれなりに輩出されるのかもしれない。
 自分はベーマガはあまり読まず、写したプログラムも片手で足りるほどなのだが、上記リンク先の言っている事は確かに頷ける。自分が小学生の頃に、紙飛行機目当てで親に買ってもらっていた「子供の科学」などには、TK-80や、手作りマイコンの広告が掲載されていて、その頃の高校生や大学生のお兄ちゃん世代が、こんなショボい機械に血道を上げていたわけだ。で、彼らが就職し、20代では下っ端だとしても30代になれば企業の開発部門で実力を発揮するだろう。日本がCPUを作っていて、しかも性能が良かったという時代があったことを覚えているだろうか?。互換CPUだがNECのV30はコンシューマー機に搭載されたものでは最高の性能を誇っていたが、あれ、'80年代だったよな。で、スパコン用途やDRAMを除いて'90年代から日本の開発力は下り坂。やっぱラジオ少年の伝統が日本の開発力を支えていたんだと思う。コンテンツを消費するだけの層が理工分野で活躍できるはずも無いだろう。
 で、その素地から作るために、少年少女を有害情報などから隔離し、携帯電話などのコンテンツ消費機器を制限し、電子工作キットやベーマガのような読者参加型の雑誌を作ってくの?。そもそも子供を甘やかす環境の改善なんて無理だし、そこからカネを吸い上げている経団連が許さないだろう。もっと楽しい娯楽があるのに、地味な作業にどれだけひきつけることができるのか大いに疑問。いろんな困難を、すごいコストと労力をかけて達成したとしても、小学生でそれに触れて大学を卒業するまでに、時間がかゝる。大学院まで面倒を見るんならマジで20年近い時間をかけてようやっと卵からかえったばかりのヒヨコ状態で、彼らが人材として戦力となり、成果を出して日本の生産力に寄与するにはさらに10〜20年かゝるのだ。今の政治家なんて目先の利益に飛びついて、国民を騙して私腹を肥やして逃げ切りを図るヤツばっかりなんで、それこそ幼稚園から考えると最短でも25年、ほぼ40年ほどたって成果が出るなんて事業に本気で取り組むと思うか?。成果が出ればいいが、出ない可能性だって大きいし、なにより日本を追い上げている新興諸国のほうが勢いがついて今日本を次々と追い抜こうとしているのにな。
 ま、ノーベルなんてユダヤに貢献したご褒美なんで、こんなのをありがたがるのもアレだし、これで頭に血が昇って突っ走るのもなんだかなぁではある。しかし、これを機に、コンテンツ消費ばっかりで生産性の全く無いバカ大学生が、研究に実績を挙げている学者を自分の感情で評価して大学の授業が崩壊するのを食い止めるようにしてもらいたいとは思う。大学民営化なんて自民党清和会がこの前の総裁選で言っていたが、再国立化するぐらいがいいだろう。別に勉強にしゃかりきにならない学生を追い出せなんていうのは、大学が考えを熟成させる場でもあるということを考えるととても言えないが、少なくともバカを入学させないようにするだけでも、大学が無駄な場所とならない一助ぐらいにはなるだろう。
 しかし、大学の独法化はもう10年も前になるのだが、思ったより日本の凋落の度合いがキツかったな。これでゆとり世代の入学でもっと酷いことになっているのだろう。で、受賞者はいずれも60歳以上。自民党のおかげで50年も後退させられてしまったよな。せめて今ある技術設備をうまく教育に利用したり保守したりで、若手が育つまでにノウハウを温存できれば御の字だろうな。