ながされて藍蘭島 第12話「おいしくて、花嫁修行」

 行人が最初に箸をつけた刺身を、初見でおいしそうと思ってしまった私って…。
 今回かなり楽しかった。ちょっと重ためのアニメが続いたので、気晴らしにと思っていたのだが予想外に笑えた。まち姉のキャラが最近ツボなんですよ。不気味を装いながらも性根は純真っぽくて、悪気はないが周囲を振り回すだけの困ったちゃんと思わせてそうではなく、計算高いのか思い込みが激しいだけなのか判定しづらい微妙さも合わせて渾然一体となった性格が予測不能で退屈しない。浮気をしようもんなら怖いだろうが、しないのなら一途で落ち着きもあってきっと幸せに暮らせそうだな嫁にすれば…みたいなところがもうね。
 今回の話でいうと、テンポも良いし、弾けも弾けの前の溜めもバッチリで、感情の起伏も単純な強弱の繰り返しでなく、緩急自在なところが素晴らしい。木の下で行人・すず・あやねが話すところなんかも、あまりに穏やかな日常過ぎて涙が出そうになりました。
 たぶん現代なら「なにか面白いこと無いかな〜」といいながら、その実、求める楽しみというのは単なるあさましい消費活動でしかなかったり、金儲けなり人を蹴落とすような話題をしがちだと思う。“食うこと”という毎日必ず通過するあたりまえの日常をいかに楽しく過ごすか、そのためにどのように心を込めるのかという話運びは非常に考えさせられるものがある。そもそも有意義な日常というものは、肩肘はった努力なり、分相応でない価値を消費することでしか得られないはずではない。ありふれたものを使っても誠実さを失わなければ決して日常というものはかけがえのないものにできないわけではないという主張が込められてでもいるのなら、それは少なくとも私には伝わったかなという気がする。
 うーん、なんかいまだ嫁の来てがない私の無謀な願望を垂れ流しているような気がしないでもない。でもかけがえのない日常というテーマは最近私の心をとらえて離さないんですよ…。