ロケットガール 第5話「イグニッション -ignition-」

 もしかして、俺、泣いてんのか?。
 全体を俯瞰すると冷静ではあるがとってつけたような構成とか、無人飛行の次に犬でも猿でもいれて試験飛行すりゃいいのにいきなり有人飛行とか、プレスのあっさり加減とか、ゆかりの気持ちの盛り上がりに過度の省略が見られるとか、ツッコむところはたくさんあるんだけど、打ち上げの描写ですべて打ち消し。
 今までの爆破事故がなんでか?と思うぐらいなのではあるが、10基は無理でも3基めはオッケーとか、不安要因があっても打ち上げにGoサインを出すとか、詳細には描かれないが結構当事者は予算的にも技術的にも複雑な問題をいともあっさりと(きっと当人の頭の中では瞬時に算出して)結論をだすってのは面白かった。特に那須田の打ち上げ許可だが、一つ間違うと判断力を疑われるので、普通誰でも躊躇するところを決断しているのもポイントの1つ。いやすべての条件が完全にベストの状態になるというのは、素人だと想像できないと思うのだが、結構ありえないことなのだ。わかりやすくいえば、100%の成功というのは原理的にありえないので、那須田は99.9998%の成功確率が99.9999%になる瞬間を待っていたというか。ほとんど成功に近いんだけど、その確率が極大値になる瞬間を待っていたということなんでしょうね。ちょっと今回の描写ではそういう様子は伺えなかったんだけど、焦らされてむしろゆかりが飛びたくてしょうがない状態をもしかして那須田は作っていたのかもしれない。しかし、仮にそうだとしてもそれは成功確率を高めるためのたくさんある要因のうちの一つなんだろう。そしてダイナミックであるがゆえに、一番いい条件が揃う瞬間は当人には決してわからないんだよね。決断すべき瞬間は上に投げ上げた物体が最高点に到達して降下するというわかりやすい形をとるものではないために、原理的に不可知なわけだ。もしかすると一番最初の瞬間がベストタイミングだったのかもしれないし、もっと待てばより成功率が上がったのかもしれない。成功しても失敗しても、決断した瞬間が果たしてほんとうに成功や失敗の要因であったのかすらわからない。下手をするとあとから結果を振り返ってもわかりようがなかったことなんてたくさんあるのだろう。まぁどっちにしろ酸化剤に液体酸素を使っているから、待てば酸素は減る*1ので、待つにつれ確率は確実に下がってはいくんですけどね。まぁリーダーの決断とは?みたいなものたくさん。
 しかし呪いで軌道改変ですか?。本当にそうだったりはしないんだろうけど、まぁこの作品らしいですわな。そういや実際の打ち上げでも、望んだ軌道にのっからなかったってエピソードを聞いたことがあるような気がするんだが…。繰り返しにはなりますが、中盤の盛り上がりは期待を裏切るスグレものでしたわ。

*1:打ち上げの瞬間までパイプが繋がっていたので、減少分を補給しているんでしょうけどね。