機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINALPLUS

 メイリンもいい大人なんだからツインテなんてもうやめなさい。あとラクスもたれパンダ禁止っ!。
 丁寧な作りなんだけど、勢いはテレビ版のほうがあったな。こうなんといったらいいか、視聴者の不満に対応したのはいいんだけど、言い訳がましくてねぇ。アレだけ詳しく描写してもやっぱりレイがデュランダルを撃ったのは依然として“?”だし。実は定期的に巡回している感想サイトさんの記述にざっと目を通してから視聴したんですけど、最後の握手は自分的には許容範囲内。というか、シリーズ構成の狙いが「あくまで主役はキラとアスランで、シンは噛ませ犬」だったのだとしたら、これはこれでありなんじゃないかと思いますよ。シンに主人公としての斯くあるべしという描写を期待しすぎなんじゃないかな。
 あらかじめ述べておきますが、この作品が名作でないことはわかります。視聴者に伝えたい筋の通ったメッセージがあって話を巧妙に折りたたんでいくという文学としてのありうべき姿からかなりかけ離れているのはそのとおりだと思います。ガノタをひきつけるために背景をふまえない台詞やシチュエーションの引用をして、作品にひきつけるどころか、かえって鼻白まれる結果を招いているだけなのもそうだと思います。
 しかし目的が低迷続ける土6の視聴率の低下阻止、関連商品、キャラクターグッズの売り上げ、身を削るような思い(製作者自ら作品をネタ扱いしているかもしれず)までしてのターゲット層への話題提供が主なのだとしたら、目的は達成できなかったとはいえないのではないかと思うわけです。確かに泥縄的な話作りでポカーン状態もあったのですが、ここは大人らしく「商売のためにここまでやるなんて、あらあら仕方ないわねぇ」ぐらいの気持ちでいたほうが落胆も少ないかも。たまたま高校生の女子と何のテレビ番組を見ているかという話になったことがあって、SEEDを見ていると聞いてびっくりしたことがあります。話を聞く限りアニメよりドラマの方に興味があるという感じで、実写のメロドラマを見るような感覚だったのではないかと思うのですが、今となっては話す機会もありませんので真相を知る由もありません。まぁターゲット層はそれらなんではないかと。いまや親の財布の紐もかたくなっているだろうし、携帯電話の支払いで汲々でしょうからDVDの売上なんて高校生には期待していないでしょうし。SEEDよりは話作りがマシと思われるエウレカBLOOD+ですらあの視聴率なんだから制作費が回収できて利益が上がったぐらいにはなっているのでは?。ボロ儲けかどうかはわかんないですけど。
 もう日本でもハリウッド的ビジネスしか通用しなくなっているような気がするので、商売のやり方という視点で視聴したときに結構面白いものはありました。ハリウッド映画だってメッセージが無いわけではないんでしょうけど、話そっちのけでアレだけの興行収入をあげるんだから、日本のコンテンツ産業人も指を咥えて見ているだけってこともないでしょう。話が面白くて金になるんだったらもっと業界人も勉強するんじゃないかな?。金になるんだったらね。
 内容については二点ぐらいかな。1つはレイの扱い方。今回の描写でレイはギルとタリアの隠し子で、ギルがラウの背負っていたものをレイに都合よく押し付けていたということでいいのかな?。タリアは自分たちの子供を政治の道具にするようなギルに愛想をつかして別れて再婚し、その相手との息子に会ってくれとキラに言伝てたと。うーんなんか違うような気がする。まぁデュランダルが死んでしまうことが確定してしまったら、レイにはプラントでの居場所がなくなるだろうから心中したというのはアリかな。私個人の意見としてはキラがそそのかしたんだから、明日を生きるためにキラは責任を持ってレイを引き受ける(生かす)べきだと今も思っているんですが。
 もう1つは結末のつけ方。なんかラクスとカガリが二大勢力のトップに立っている(ように見える)んですが、これはいいのか?。これで終わりのような気もしますが、ここ2〜3日のうちに続編の怪情報が流れております。最後の「何度でも花を植えなおす」というのがテーマにでもなるんでしょうか。SEEDがWWⅠ、SEED-DがWWⅡだとすると、続編は冷戦(これは無さそう)か冷戦後の世界でも借りるのかなと。
 デュランダルの言い分のほうがキラたちのそれよりも説得力があるとか、デスティニープランは何処へ?といった数々の謎は残りますがキリが無いのでこのへんで。