交響詩篇エウレカセブン 第21話「ランナウェイ」

 先週が動乱の展開だっただけに今回はあまり心を突き動かされるというほどでもありませんでした。レントンがまぁ表題通りの行動をとるのですが、以前の彼なら自分の思い込みだけで突っ走っていたところを今回は周囲のことも一応考えての行動を示しているように思います。精神的には少しずつ成長させているんでしょうね。そうはいってもまだまだ子供ではありますが。ここに来てホランドが意固地になっているのも明示的だし、タルホもイライラ気味。他に冷静な人物を配置して話が暗くなり過ぎないようにしているところはうまいですな。
 人殺し云々は前回の時点で他のサイトでもいまさら感がと批評されておりましたが、むしろこれは話の配置上の問題ではないでしょうか。早いうちから戦争の現実を直視させていたらその後ずっとそれはついてまわるわけです。とりあえず登場人物の性格を一通り描写してからでないと「人の好い奴が仕方なく人殺しをしている」が、「人殺しだけど人の好い奴」になってしまうわけです。むしろ人殺し云々はレントンに自覚させるというよりは視聴者に向かっていると思います。前回ロボットがレントンに攻撃されて血を噴き出すという描写はあくまで視聴者に対してなされたものでしょう。人殺しはなぜいけないの?という餓鬼の質問に直接グロいところから説明しても毛嫌いされるだけのことで。少なくともガンダムシードシリーズよりはちゃんと順を追ってどんどん深く掘り下げていくような丁寧な作りだと思いますよ。見たいものしか見ようとしない人にはつらい展開かもしれません。多分この作品は、戦争の現実が人殺しの蓄積であり、いまさらレントンがそれに気づくなんておかしいといえる人向けには作られてないような気がする。
 しかしまだまだダルい展開が続きます。各人それぞれ複雑な感情をお互いに感じながら、しかしその感情を自分でやりくりしながら共同して目標を達成していくしかないという展開にするつもりなんでしょうか。今までの展開を見るとラストでお互いどうしわかりあって一件落着、あぁよかったねという楽天的な結末にはならないような気もするんですが。