これも一つの嵌めなんだろうか。

 んHKラジオ第一、いきいきホットラインの今日のゲストが漫画家弘兼憲史でしたので、楽しみにしておりました。通勤時刻をあわせましたので、ほぼ全部聴取。結論をいうと、この人自身団塊の世代なんですが、自分の立ち位置が良くわかっていると思われる慎重な発言でした。むしろ聴者から寄せられる意見の方にツッコミどころが多くて萎えました。曰く、「上の世代に必死でおいつこうとし、下の世代からの追い上げにびくびく」。うーん、戦後復興世代にくっついていった世代と言われていることが丸わかり。「退職したら周囲をよく見回して、お互いが手を取り合って行動していきたい」。この表現が何を意味しているのかわかって言ってんでしょうか?。今まで周囲を見渡さず自分中心に仕事をしていたということ、またお互いがいがみ合いながら行動していたということなんですけど。自分のしてきたことを正確に把握しているといえるのでしょうけど、今から良い子ちゃんに変わりたいなんてあまりに虫が良すぎやしないか。とまぁ、頭の悪い意見に突っかかってもしょうがないのですが。
 この人の代表作には「島耕作」シリーズがあります。いわばサラリーマン出世物語なんですが、さすがに私も主人公に感情移入はできません。そりゃ痛快モノなんだろうけど、やってることが政治なんだもん。サラリーマンなら仕事しろよ!(多分現実の企業でも仕事をしないで社内政治が業務であるという状態をうまく表現しているとも言える。)と言いたいところですが、あらかじめファンタジーとわかっているのでいちいち腹を立てることもありませんでした。今、連載中の漫画が「黄昏流星群」なんですが、これもよくできたフィクションです。むしろありふれた人々を題材にしているので身の丈にあっていて背伸びせずに読めるのがうれしい。読むのに抵抗がないし、かといって読みつづけなきゃなんないという強制感がないのも手軽です。大学在学時には「人間交差点」なども拾い読みしました。これらの作品群からみると、作者自身は周囲をよく観察しているなと思わされます。島耕作にしたって、ターゲット読者層に的を絞った話作りをしたからこその出来だし、ファンとアンチの差が激しいというのもそれを裏付けるものではないでしょうか。番組中も変に自慢ぶったりはしていませんでしたし、かといって卑屈でもない、団塊の世代がこれからどのような身の振りかたをしたら良いのか淡々と述べていたのがとても好印象でした。まぁ団塊も人の数が多いから良くも悪くもいろいろな人がいるだろうし、当然良い方向にも悪い方向にも突出した人が他の世代に比べて現れやすいということなんでしょう。かといって団塊特有の傾向がないとは言いませんが。
 さて、実はそのあとラジオ夕刊で「30代が地域を変える」という特集をやっていました。私が聞いたのはフリースクール(のようなもの)、炭焼きに取り組んでいる人でした。やっていることが悪いわけではないですが、あまりにもピンポイントな特異点をクローズアップするのは如何なものかと思います。それ全然汎用性ないですから。その分野で成功することは実はかえって社会にとって害悪になる可能性大ですから。そんなところでがんばっているといわれてもなぁ。30代って結局尻拭いの世代なんだろうかと暗い気分になってしまいました。