涼風 第3話「見舞」第4話「春嵐」

 楽しみはあとに取っとくのが吉と思っているので、フルメタTSRは後ほど視聴。「涼風」、前回は風邪の話で、今回が火が点く話でした。
 あ〜なんだかな〜もう〜。たぶん他の視聴者は見ていていらいらしているのだろうし、切っている人も多いのではないでしょうか。棒読みの台詞は言われつづけていることですし、作画もいまいち、主人公のモノローグが多く、説明過多、甘々でわかり易すぎるストーリーと、ダメな理由を挙げるといくらでも出てくるのです。某所で童貞君アニメと評されていましたが、それはそうだろうと思います。
 しかしなんだろう。同じ第4話でも、「タイドライン・ブルー」よりも安心してみていられるのです。もちろんタイドラインの方が描写が細かくて、人物もくるくる動きます。誇張表現が適切で見ていてハラハラドキドキを感じます。声優もベテランが多いので、口調が気になることもありませんし。しかし見ていてなぜかイライラするのです。
 タイドラインは短い話数に内容を詰め込んでいるので、ある程度の混乱は承知しています。人物紹介が終わった後の展開に期待しているので、揚げ足を取るのが目的ではありません。そこらへんスターシップ・オペレーターズと似ているなと感じます。ここでは涼風がなぜ落ち着いた気分で視聴できるのかを考えてみたいと思います。だからといって優れた作品であるとは限らないことに注意してください。「水戸黄門」は安心してみていられる作品の一つですが、反面飽きやすいので。
 一つは外面の良いキャラクターを用意した恋愛物という王道パターンのストーリーであること。クローズアップされている登場人物が絞られており、その周辺でストーリーが動いていること。一度にたくさんのことを詰め込もうとしていないで、ミッションのポイントを明らかにしながら一つずつ解決を図っていることでしょうか。実はスタッフロールの初っ端から脚本家の名前が登場しており、今まで女性しか見たことがないので不思議に思っておりました。もしかしてペンネームが女性で本当は男とか?シリーズ構成の人ははてなキーワードで見てみるとベテランの人のようです。ストーリーの柱だけでなく、土台の部分からしっかりしているのでしょう。
 主人公の大和はヒロインに焦がれ、思春期特有の感情の揺れ動きが激しい描かれ方です。折角のアニメーションですから、モノローグなどに頼らず動きや仕草で感情表現すればいいのですが、この場合その場の状況や特定人物の発言などに対するツッコミ要素があるので、視聴者の誘導、同意などが得られやすいと思います。反面、説明などをほとんどしないのがヒロインで、主人公の描き方と対照的なのが面白いです。あとの登場人物はいうなればすべてつけあわせです。人物の相関がわかりやすく、矢印の方向がはっきりしています。それだけに日常が続けばすぐに飽きるんでしょうけど、そこは1クールものですから、飽きる前に終わるのでしょう。楽しませるための物語の転がし方はもう決まっていると思います。間のとり方も絶妙。「おくさまは女子高生」があっという間に飽きてしまったのは想定の範囲内でしたが、これは行間を読む楽しみはほとんど無いにしろ、意外なことに継続して視聴しようという気になっています。
 しかしこの作画は人材養成の副産物なんでしょうか、専門学校生かそれあがりが作品を作りながら仕事を覚えるための練習台と思ってしまいます。アニメファンにとっては許しがたい仕上がりなんでしょうけど、私にとっては今のところこれで十分。