というわけで今晩放映でしょうけど、少しずついとしいものに触れてみる。

 ぺとぺとさんの住んでいる鮎川町は、リンク先では田園風景となっておりますが、前も述べたとおり住宅街もある町となっております。都心から電車で2時間も揺られれば普通に目にすることができる光景です。田舎といっても「うさぎ追いしあの山、小鮒釣りしあの川」でイメージする田舎とはちょっと風情が違います。もちろんくぐるが人目を避けて泳ぐことができるきれいな川(沼?)はあるし、山に分け入れば昆虫とりもできるのでしょうが、少なくとも3話見たところでは、生計が農業である一家という描写はありませんでした。すなわち都市に住んでいる人間にも帰るべき田舎があり、もちろん田舎に住んでいる人はそこが終の棲家であるという、日本国民のほとんどが「ふるさと」を持っていたあのひと昔前の日本ではもはや無いわけです。
 職を求めて都市に行きたがる人間もいなければ(むしろ普遍化してさっさと引越ししているような状態になっている可能性はあり)、親の跡を継ぐとか言って帰ってくる人間もいないでしょう。かといって人口が増えて発展していくようにも見えませんし。人の流れのよどんだ中途半端な小地方都市といった風情があります。ここらへん宮台真司の述べた「終わりなき日常を生きる」世界があらわれているわけでして。差別を受ける存在の特定種族はある意味将来がないわけで、明日の見えない日常を戯れてすごすしかない現在の少年少女にもあてはまるところはあります。まぁ、ほかにやることもないから色気づいて惚れた腫れたという流れにもなるのでしょうが。赤沢は特定種族として認定されもしないという特殊事情もあるのでしょうが、そういう現状から脱却しようとする姿も描かれているわけでして…。
 地方の描き方や先が見えない日常の描き方など、ほんわかしているので見過ごしがちですが、現代的な状況をうまくもってきているなぁと感心してます。