最大の害悪は敵ではなく同僚(仕事をしない上司)

 さてと、舞-HiMEですが、問題がないわけでもありません。主人公の設定が甘いような気はします。まず、最大の力を割り振られている理由が見当たりません。別に理由なんてなくてもいいのですが、最大の解決能力が与えられているのにそのことに対する疑問を感じていないようです。コンピュータゲーム初期にみられた、なぜ勇者に選ばれたのか…それは勇者の素質を持ったものだからであるという同語反復のRPGとも通じるものがあり、ちょっといただけません。
 この物語の設定で登場人物がキレイ事を言いながらも全員自己中心的であるという部分は、若者に限らず全世代がそうであるという現状にも非常にマッチしており、文句をつけるところではないと思っています。物語が進むにつれすれっからし奈緒を清々しく感じるぐらいです。ここらへん非常にうまい。萌えアニメという期待を打ち砕いてくれたという点で私はかなり評価をしています。ただ、主人公が人間関係に思い悩みながらも(ここまでは優れた描写)、結局は自分で解決したというよりは状況に流されていたら何とかなったという風に見えてしまうのが気にかかります。あまり強い意志があったとしても典型的なヒーロー(ヒロイン)物になってしまうので、それはそれで萎えるのですが。むしろ強い意志があるのなら初めからそうしてろよというツッコミが入るので、なんだかんだいっても物語的には正解だとは思います。
 もう一つ。主人公の大切な人というのがオジサン的にはなんだかなぁと。弟がダメになったから節操も無く男に走りますか。どうも恋愛に落とし込むのが年を喰った私には気恥ずかしくてたまりませんでした。まぁこの年頃のある女はこればっかりだそうですし、萌えキャラがいきなり世界のために目覚めたというのも華のない話ではあります。脚本家にしたところで一般受けを考えて、自分のいいたいことはここでは我慢して恋愛に落とし込んだんじゃないかとも思いますし。私的には記号がはっきりしている作品と思いました。私の大いなる勘違いかもしれませんが。