ガルフレ夜激早々に終わる
6000万ptスタートLv44&46。
Just Because!視聴した
サープリ、SGS、FAGと萌えアニメずっぽしの作品ばっかだったので、ちょっとバランスを取って視聴。アニメオリジナル作品。
結論としてかなり楽しめたんだけど、結局の所、「中学生の時好きだった女の子が、しばらくぶりに会ってみるといろいろあって、志望校を変えてまで追っかけてくれる」というそれはそれはドリーム満載なテキストなのでなんか節操ないなと感じた。主人公が高校3年生の2学期の終業式に転校するとあって、これがもやもやする。義務教育ではないのだから私立の系列校でもない限り編入試験があるはずだが…と思っていたのだが、どうやら上智大学と思われる大学に推薦入学が決まっているという設定なので、なるほどそれなら高校のほうとしても進学実績の数字稼ぎになるから積極的に編入を受け入れてもおかしくないなとかぼんやり考えてたりしてた。
ネタバレ承知で書くのだが、転校生である主人公とくっつくことになるメインヒロインは、主人公のイケメンっぽい親友に中学の頃から思いを継続的に寄せており、その友人が他の女の子とうまくいって行くところがなくなり、パズルのピースが完成されるように主人公に与えられるという予定調和だし、場を盛り上げるために、主人公と何の面識もなかった写真部の女の子がアテ馬として登場するなど、恋愛モノとしてもオーソドックス。主人公悪いやつではないんだけど、メインヒロインともどもコミュ下手で、なるほど、そのへん同様にコミュ下手な視聴者に重ね合わせて見果てぬ夢をみせてドキドキさせる構造で狙い過ぎだなぁと思った次第。制作年度からするとおそらく君の名はのヒットを受けて作られたとは思うが、先行して月がきれいがあって、これはそれを意識なり参考にしたのかはちょっと判断がつかない感じ。視聴後ちょこっとggってみたが、それなりに評価している人はいるのだが、大ヒットしたようにも思えない。あんまり見え透いた作品を出しても世の中そんなに甘くはないってことか。チェック段階でもそれほど視聴意欲が湧いた作品でもなかったわけだが、もうちょっとバズってもよさそうなもんではあるが、自分の感覚もそれほど間違ってたわけでもないんだなと思ってみたり。
自分が面白いなと思ってたのは、男女それぞれのホモ・ソーシャル部分が昔の若者宿や娘宿にちょっとばかし構造が似通ってたとこ。村の農作業などの共同作業を通じて不特定多数同士のマッチングが行われ、本人同士の意思疎通が形成されたら周囲の支援を受けて結婚に至り独立していったわけなのだが、本作では男の方は人数が少なめで割と構造が単純に描かれてはいるのだが、女のホモ・ソーシャル部分にそれなりの紙数が割かれており、基本的に先行者優先の横取り厳禁であり、だからこそ仲間内での宣言が意味を持ち、交渉中は支援するか黙って見てろよという状態になるんだろうなと思われる。主人公は途中からカメコの後輩ちゃんからアタックを受けるが、主人公としてはソーシャル内での嫁獲得手続きをとっているのであって、後輩ちゃんに対してはあんたソーシャル内に属してないからNOというのは当然。個人として好意を寄せてくれるのはありがたいし、個々の対応で返礼はするけど正式な手続きをとってないのだから対象外というのは理に適ってる。メインヒロインが待ち受け画面を見てプンスカしていたが、あれも嫉妬というよりもやはり正式な手続きを経ていないことに対する怒りと解釈するほうが個人的にはしっくり来る。
で、前半は主人公の親友である野球部くんとサブヒロインのブラバン娘のエピソードがメインになっているのだが、これが旧来の若者宿・娘宿の観点からすると王道部分に当たる。野球部に所属というのは個人的にはいろいろ思うところがあるのだが、一般的な観点においてはいちおうやりたいスポーツをやってはいるが、個人的な感情を押し殺して苦役に耐えるという記号なのであって、要するに「村一番の働き手に対して優先的に嫁が与えられる」という物語になっている。サブヒロインはサブヒロインで、これまた実家は農家で家庭の家事の一切を引き受ける働き手(野球の応援は奉仕作業のメタファー)で共同体の価値観に一番寄り添っていながら、よりによって共同体の一番の重要事である婚姻に関してあまりに無関心である→だからホモ・ソーシャルでも孤立していたという立ち位置。そんな彼女が社会を理解して順応していく物語になっているわけだ。
さて、この作品では主人公周りのテキストこそが本題ではあるのだが、上記共同体の物語としては裏番組になる。なので大ヒットしなかったのかなと思わなくもないし、実際そんなにこの本筋がそんなに大局において光り輝く表参道の明るい物語でもなかったのも事実。だって結局の所これは残り物同士(主人公は本命はそうでもないのだが)のマッチングに見えてしまうからだ。主人公くんにとっては野球部くんがアウトオブ眼中だったからこそメインヒロインをゲットできたわけだし、メインヒロインは野球部くんから選ばれなかったからこそ主人公で妥協したという構造になっているわけでなぁ。が、社会的にはこっちのほうが数が多くて当たり前だし、落ち着くべきところに落ち着くことこそが「結局は縁」なのであって、こっちに光を当てることがこの作品の社会的ミッションだったのかなと思わなくもない。現代はとかく恋愛資本主義真っ盛りなので、ヘンな話、こういうマッチングシステムが壊れてしまっていて、いわば強者総取りの猿山システムになってしまっているわけで、あぁそりゃ社会がある意味壊れて少子化になってるのも納得だわといった感じ。
あと、こう大学に受かってから告白ってのも流行遅れの感じがしたのだが、要するにこれ大学を経由していい就職先が得られるってことを示しているわけで、婚姻を成立させるための甲斐性を獲得することの記号なんだなと思った次第。私立大学は学問をしに行くところというよりはコネを作りに行くところなのでそれが進学先なのもいかにもムラ社会という感じ。でもまぁ今や大学も貧乏人お断りの雰囲気が強くなっているので個人的にはやはり時代遅れの感は強い。
エピソードの進行具合もちょっとなんだかなぁといったところ。最初の頃はキャラの感情をわざわざ当人につぶやかさせていたりしてなんじゃこりゃと感じた。正直つぶやきがなくても全然キャラの感情が伝わっているように作られていると思っていたのだが、それも物語が進むにつれつぶやきもなくなっていたので、なんつーか、親切設計として最初の頃はそうつくられていたのかも。あと後輩ちゃんとのエピソードも、こう視聴者にちょっと先読みさせる作りになっていてお節介だなと感じてた。最初の登場時、「こんな絡まれ方をしたら自分でも逃げたくなるよな」→主人公が逃げる展開って感じの。テキストによって視聴者の感情はそもそも誘導されてしまっているんだけど、視聴者としては自分でそう選択したと錯覚させるあの手法ですよ。が、こういう仕掛けがないとおそらく大半の視聴者は退屈に感じて初期の段階で大量に離脱するのでしかたないのかなという気もする。
作画は線が乱れてはいるんだけど、枚数も頑張ってる感じで個人的には語弊があるとは思うがクォリティは高めと判断した。音楽もしっくりきてたし、あと、自分は物語に気が乗るまでは割と背景に目が向いてた。おそらく実写写真にエフェクトをかけてつかっているかトレスかなんだけど、個人的にはキャラ絵と合わせて違和感がなければむしろ積極的にやってくださいって考えだから、これは好評価にあたる。構図がモロ風景写真を狙った感じで、絵単体としても見応えがあったかな。
恋愛モノになるとたいてい大部分がキャラ同士の相関関係になってしまいそれ以外の視点がどうしても弱くなってしまうし、嫁獲得モノは個人的にダメージが来るので、そのへんしんどかった。やっぱり萌えアニメのほうが気楽でいいわってのはある。