Tokyo 7th Sisters -episode.Le☆S☆Ca- 後編、読了。

 

 前編のときには付属していたブックカヴァーがなくて泣。破れやすくとも付いてくれば表紙を手でベタベタ触らなくて済むんだよね。
 さてテキストだが、前編よりはマシな感じ。相変わらず日常会話の中身のなさには辟易だが、今回は三人の中のヒロインのうち、陸上部の「ついでに」スカウトされた一人のエピソードの出来がまあまあ。読了して振り返ってみると、あんまりアイドルになる動機部分に重きはなくって、むしろ将来に悩む年頃のとらえがたい不安感となんとはなしに進んでしまう若さあたりに力点が置かれているのかなとは思った。年頃とは言ったが、思春期特有の不安というだけだったら、世間知らずの若者が…という感想になるが、現代日本のこれからどうなるか、決して明るい方向にはいかないことだけは確定しているそういう状況の中、今自分がとりくんでいることすら将来どうなるかわからないのにどうすりゃいゝのよ?といった若者だけにあてはまるのではない問題点も含有しているようで、幾分ポエミーながらも中盤に配置されているその部分だけは勢いで読めるといったところ。別にこの後編がお勧めレヴェルのものではないが、前編を買わなくても後編だけで良いんじゃね?ぐらいのことが思い浮かぶ。おっとりねーちゃんが主役だと思ったんだけど、そいつがたくさん紙数登場している前編では、あんまりよく物語上で踊れてない。
 あとはなんだろうな?、この本が特定のキャラクターがゲームに登場する(アイドルになる)前のプレリュード的なものなんだから、それぞれがもっとアイドルになるためにする決心あたりをもうちょっと強調してもよいのではないか?とも思うのだけども、そのへんはむしろゲームでスカウトしてきたプレーヤーがキャラの育成時に補強する部分なのかもしれず、なんとも。正直アイドルに関連する部分をばっさり切って、それぞれのキャラクターが抱えている問題をクローズアップさせたほうがこのテキストライターは良い仕事をしたであろうにという気はする。とはいえ、言ってしまって悪いが、アイドル部分とそれぞれのキャラの事情を上手く絡めてアイドルデビューまで収束させる作品にするんだったら、もうちょっと手馴れた作家に依頼したほうが良かったんじゃね?という気はする。シナリオライターが本業なら構成もわかってるだろうし、ディテール描写も悪くないとは思うんだけど、小説初仕事だと荷が重すぎたんじゃね?とは思う。そのへんコト天ノベライズの作者も小説初仕事らしかったので、腑に落ちた次第。