新世界より 第12話

 早季が将来の指導者層としてのオファーを提示される話。
 うーん、やっぱり試されていたといったところ。が、この描写だと、作品世界は現代の管理社会のメタファーというよりは、もっと仮想的な設定のように思える。呪力が物理的もしくは社会的な力(技術や権力)の記号であろうとは思うんだけど、現代日本のようにエスタブリッシュメントゝ証する政治屋さんが、それを私腹を肥やすための道具として使っているのとは毛色が違っていて、人類が本来自然には持ち得ないそれらの力をどう抑制していくべきかという仮定的な話のように思える。力に溺れる者もいようし、そうしたいという欲がなくても力に取り込まれてしまったり、今回の話に出てくる少女や、瞬のように、理知的にコントロールしようと努力しているのに力に呑み込まれてしまってどうしようもない場合もあるということで、割とディストピアを描きながらも、人間の作為にたいする善意が込められているように思う。強大な力だからこそ組織を自滅させる可能性があり、それを押さえ込むために厳格な管理社会を築く必要があるという流れに今のところはなっている。とはいえ、モデルとなっているのは官僚主義が国家を食い潰していった共産主義社会であって、どう考えても胡散臭いんだよね。ソ連でいうところのクレムリンがこの社会では教育委員会という名前になっており、これは管理のためだけに邁進して組織を壊すような指示ばかりして教育自体を潰してしまっている日本の教育委員会と重ね合わせているのは強烈な風刺ではある。
 まぁまだ半分終わったところなんで、あとの半分かなり変化の激しい展開は予想されるところ。生半可な予想で視聴してもあんまり当たることはないだろうが、まぁその予想するという行為が楽しいのであって、そのへんこの作品がそれなりに面白いものであるという証左なのかも。