ラストエグザイル-銀翼のファム- 第20話

 いや、ソルーシュは殺しとかなきゃなんないでしょ。
 しかも生かしておくことによるメリットまったく無いし。個人的にうれしかったのはソフィア姐さんが出てきてくれたこと。でもシルヴァーナは要らなかったかな。
 うーん、やはりお子ちゃま群の発言が今一胸にコない。原爆二発で黙ってしまった旧帝国陸軍のことを思えば、グランエグザイルで歯向かう連合軍のあり方が今一腑に落ちないんだよな。ならば前回オーランに叫ばせるなよなと。ミリアがエグザイル起動の鍵になってたのはわかってたので、いつその発動があるのかとワクワクしていたが、まさかディーオが起動させるとは思わなかったよ。しかも起動早々グランエグザイルの攻撃の楯となって破壊されてたのもポカーンだった。いや、グランエグザイルの強さを示すために、このパワーバランスのとり方は正しいのだが、出オチというか、出鼻を挫かれたというか、てっきりエグザイルから伸びてくるパンチの応酬を期待していたゞけに、そのこっけいな場面を見られるという期待感を裏切られたってのは、なんか惜しい感じだ。高度限界を打ち破る方法も使い捨て感マンマンで、いや、もうこの作品に戦術面でのリアリティとか期待してはならないんだけど、もうなんていうかね。
 さて、いろいろ期待を裏切らないというか、裏切るというか、まさにこの作品らしさが溢れんばかりの回ではあったんだが、あゝ、確かにこれでは視聴者の寵を失うワナとは思わせるものゝ、輝きは失っていなかったように思う。まさに自分が期待するのは大時代的なところで、しかも演説のキレの良さだとか、危機的状況において指揮官が発するヒロポン的叱咤激励ぶりがもう胸をがんがん打ち鳴らしてくれる。この作品が現代世界の構造を示すことにあるのであれば、このクソみたいな世界を乗り切るために、せめてこのぐらいの声かけぐらいはしてくれよというのを余すところ無く示してくれるところが素晴らしい。この世界がクソでしかなく、しかも幸せなんて永久に訪れず、抗い続けるしかないというのであれば、支配者層はせめて民と共に戦うフリぐらいしてくれよ、民から収奪して自分だけ肥え太るんじゃなくってさぁ…ぐらいの昂揚感は与えてくれるわけで、そのへんは十分に評価できる。まぁ正直世界を良くするための解決法なんてごくごく簡単なわけではあるんだが、現状それが可能か?と言われゝば、それに関して努力することはすべて無駄という現状がある以上、せめて言葉だけでゞも酔わせてくれよといったところか。でもまぁ小鼠カイカク以降で日本は風景が変わってしまっている(別に日本人が変わったわけではないんだが)ので、なんだかなぁと思わなくも無い。
 正直世界構造を示すためにラスエグの世界観を再利用する必然性もないわけで、あまりスマートさを感じないのではあるが、まぁゴンゾ10周年ということもあって、別にラスエグ以外の世界観じゃなくても構わないと言われゝばそうなんだが、ちょっと外しちゃったかなという感じは惜しいというか仕方が無いというか。いろいろ無理は感じるワナ。個人的に言わせてもらえれば、ラスエグで喜多村英梨(記憶が定かでないが、多分主役級のキャストはこれが初めてじゃなかったっけ?)のファンになったようなものなので、彼女の成長ぶりが気になって仕方が無かったのですよ…。