アタックNo.1 第38話 友情の(秘)作戦

 アジアの姉妹きょうだいっていったって、よくよく考えてみればアメリカ・南鮮・日本って冷戦構造下の西側陣営じゃん。
 協力体制は出来すぎのような気がしないでもないんだが、なによりバレーが好きな彼女達が決勝戦チームと一緒に練習し、それから刺激を受けるってのは素直にうれしいことなんだろう。また、日本も完全秘密主義にするんじゃなくって、練習相手として他チームを受け入れるってのもおおらかだよな。東京オリンピック対策は完全に他者をシャットアウトだったんじゃないかな?。
 今回は猪野熊の理想的上司の有り方かな。部下(こずえ)の進言を最後まで聞き、結論ありきで指示するのではなく、部下の言うことを整理しながら問題点を明らかにする。懇切丁寧に細かいことまで指示するわけでもなく、かといって経験のない部下(中学生)に全部が全部考えさせるわけでもない。フィクションだから、こずえが成長段階としてその時期に在ったという設定だろうが、なかなかに胸のすくやり取りではあった。上司としての職域として、部下が思う存分仕事が出来る環境を用意もし、部下が全力で問題に取り組んでいるときには、集中するべき点を一つに絞っている。試合前の訓示も、卑屈でない感謝、勝利という結果にこだわるのではなく、全力を尽くさせるという点にのみ言及するなど、現代のよっぽどできた企業でもまずこんな理想的な上司はいないだろうという描写。まぁ部下も困難に対する耐性が考えられないぐらいにあるわけなんだが。
 まぁ猪野熊が人間の感情云々と言っていたが、自分としては「どうせ猪野熊も本郷と負けず劣らず食わせ物で、実は立派な指導者なんだろ?」という目で見ていたせいか、あんまり実感は湧かなかった。ただ、今までの猪野熊の人生において、こずえたちのように選手に信頼されるという経験はなかったろうから、そのへんはなんとなくわかるような気がした。
 まぁ割と昂揚するのだが、よくよく考えてみれば選抜チームといっても中学生なんだろと。自分が物心ついてバレーを見知ったときには、日本で注目されるのは基本的にオリンピック日本代表だけだったような気がするんだが。中学生風情からこうカンカンに盛り上がるってのは実はヘンではあるんだよな。別に勝っても負けてもそんな大騒ぎするようなことでもないだろうと。中二病という病気が本当にあるんだったら、こずえ達中学生には一大事なんだろうけどな〜。所詮成長過程なんだから、視聴者としてあまり頭に血を上らせてもいけないんだろうなと自戒の念を込めて。