ef - a tale of memories. 第12話「love」

 オレたちの戦いはまだまだこれからだ!エンド?。
 うーん、どうなんだろ?。千尋が、昔の自分は涙をこらえるためにずっと上を見上げていたとか言っていたが、自分の記録から類推できるとしても、やっぱその頃の気持ちを忘れてなかったということじゃないかと思うんだがどうか?。
 というわけで、一度リセットされた記憶を、自分の記録を頼りにもう一度獲得する…ということで、それってどうなの?みたいな思いもあったんだけど、鎖が砕ける描写があったので、明言は避けているけどおそらく千尋の記憶障害は治ったと見るべきなんじゃないかと。もともと交通事故で発症したもんだろうし、先天的なものでなければ無理はないわな。おそらく事故のショックを思い出したくないというか忘れたいとか、そういうあたりの意味付けだろうし。
 しかし、屋上で日記を破り、廃駅で知らないフリを演じてみたりで、最後破り捨てられた日記のページを握り締めてやってきたちょんまげ君にようやっとOKを出すなんて、それなんて三顧の礼?みたいな。ちょんまげ君、孔明の罠に嵌ったなということで。
 しかし他のパートが今一予定調和すぎますな。なにその馴れ合いは?という考えが頭をよぎったが、それは野暮ってもんだろう。なんというか自分の可能性だの夢だの、これもしゅごキャラ!のテーマで〆てきたわな。いや、物語の冒頭からやれ進路調査だのやっててちゃんと方向性は見せてはいたけど。
 さて、全体を通してみると、やっぱり面白かったといわざるを得ない。最后で各キャラが自分の夢についての立場を語っていたが、私の夢は決まっていると全員がいわなかったのはさすがと。終わってみればさわやかな青春ドラマの1ページみたいな感じで、はぐらかされたような気がしないでもないが、ターゲット層であると思われる中高生への訴求力はかなりあるんじゃないかな。オジサンとしては、もうちょっと火村さん的立場で眺めるべきなんだろうけど、なかなか激情に流されましたよ。
 やっぱり千尋パートにいろいろ考えさせられたんだけど、さすがに社会的文脈みたいなものは最初あるように見えて、最後まで踏み込んで読み込むことが出来なかった。千尋でなくとも、ほとんどの人は13時間といわず、体験したものの大部分を片っ端から忘れ去っているわけで、それでも忘れない(忘れられないとか無意識下とかの)記憶があり、その記憶を軸に生活しているわけで、夢とはいわないまでもその選択がその人自身の構成要素なんだろう…ぐらいのことかな。
 みやみやや景あたりは、いまいちパッとしないというか、千尋パートの対照として対置されているだけなんじゃないか?という気がした。扱っている設定は極平凡だし、下品にならないよう注意がはらわれていたが、どうにも付け焼刃的なものを感じてしまう。そもそもひろひろをめぐる女二人の戦いという構図を取り、取り合いに負けたほうに新しいモノが与えられるという結果を見て、形ありきだよなぁと。
 あと、全体的に物語が人と人との支えあいを重視しているんだけど、わりと結果を決めるのは個人の意思だ!みたいな流れになってましたね。CLAMPほどすべては必然だ!みたいな感じではありませんでしたが。まぁそれやっちゃうとお話が成り立たなくなりますし。だったら必然なんて言わなければいいのにと、今回思ってしまいましたが。
 学校生活を楽しめない千尋に対して、それができる女二人というふうに、千尋の背負っているものが重いものに対して、そうでもないという構図、一穴主義のちょんまげ君が相手の千尋と、二股かける少女漫画家君が相手の女二人っつー風に、千尋を際立たせるための構成という気がしないでもない。まぁ確かに終わって振り返ってみれば、千尋パートだけの物語というのも胸が詰まりすぎるわな。間ももたんだろう。
 最終回あたり、冬服女のパートが唐突に説明されるのかと思ったら、最后にほのめかしで終わっちゃいました。ゲーム公式HPだとあんまり千尋がクローズアップされてないんだけど(発売予定のゲームのシナリオに関係するのかな)、あんまり気にすることも無いかな。
 いろいろと実験的というか際立った演出が多用されていたけど、終わる頃には気にならなくなってましたね。いやぁ、慣れって怖いというか。音も透明感があって、閉じた人間関係で美しく作用していたと思うし、充分浸らせていただきました。その世界観のためか、どうも狭い箱庭をぐるぐる回っているような印象は最後まで拭えませんでしたが、その分精緻さは堪能できたかと。
 実は話の内容的にはアニオタ外の人にも勧められそうな感じがする。うまくやれば(帽子女の処理とか)実写ドラマでも充分やれそうな気が。でも女性層にはウケが悪いかも。とにかくスタッフはお疲れ様でした。おもろ+。