ef - a tale of melodies. 第12話「forever」

 思わせぶりな連続音の後は、あっさりと後日譚ですか。
 最終回としては、よくまとまっている感はあれど、説明過多のような気がした。えーっと、緋村、ひろひろとみやみや、景と凪が日本在住で、ちょんまげ君と千尋、ミズキと久瀬がオーストラリアということなのか。前期はてっきりどちらも同じ街にいたと思っていただけにヘンな感じはする。
 で、総感に移るわけだが、なんとももったいないような気がしてならない。登場人物たちはほとんど皆、初期設定としてなんらかの傷なり負い目があって、それを克服している物語になっているわけだが、そこに込められたものは社会としてはほんの小さなものではあるが、個人としては重大な決意であって、それがまわりまわって全体を幸せにしていくというもの。こういうテーマは、今の時代が時代であるからこそ深夜アニメの枠でひっそりとやるもんじゃなくって、ゴールデンとは言わないまでも、それなりに衆目の集まる所でやるべきものなんじゃないかと思う。
 だが、モノがモノなだけに、大々的にアピールするわけにもいかず、やはりその筋の人向けに構成もし、一般性を著しく削がなきゃなんないのが辛いところだわな。物語を大きく改変するわけにもいかんだろうし、そもそも販促という側面もあろうし。個人的には優子を殺さず(交通事故なんてかなり必然性がない)、ファンタジー臭(それよりオタ臭を抜くほうが重要なのだが)を極力廃してもっと多くの人に知ってもらうほうがいいような気がするんだよね。世の中キレイ事だけで動いているんじゃねぇよという層はあきらめて、それでも一般の少年少女向けにもっとリファインのしようがあるとは思うんだよ。
 政治臭はかなり薄められてはいたんだけど、それでもなんで世の中がこのような有様なのかという理由はブッチこいて、じゃぁこれからどのような心持ちで生きていったらいいのかという指針は結構美しく示されていたと思うんだよ。のだめ巴里編が視聴率5〜6%を行くのなら、そこまでいかなくとも戦いようがあるんじゃないかと思うんだがどうか。
 というわけで、細かいところは除くが、やはりエロゲ原作という制約は厳しい。いや厳しいというかエロゲじゃねぇとこうも気恥ずかしいテーマを扱えないって側面は十分あるとは思う。本筋として一般的な訴求力を持ったものだと思うだけに、萌えアニメの皮とか、エロゲ原作の皮だとか、エキセントリックな演出という皮というのはもったいない気がした。でも、金の出所を考えたら、文句は言えないよねって感じか。でもまぁここでスタッフに一般向け作品を作れってのも酷な話ではあるよな。
 音楽なり絵なり、文字多用なりと見る人を選びながらも、よくもこう突き抜けてくれましたわなってのが正直なところ。とても人には勧められないのがこのアニメの限界ってところでしょうかね。感想としてつらつら書いてきた内容は全くないと思うのだが、経過をブッチこいて、評価はおもろ+かな。スタッフの皆様方には楽しませてくださいました…。正当といえば正当だけど、第2期でそんなに話題になったようにも見受けられないのだが、ともすればパワーダウンしそうなところ、いや実際に第1期以上のインパクトはなかったような気がするんだが、よくよく健闘していたんじゃないかと思うのでありますよ。