嗚呼無情。

 松岡農相自殺:臨時代理に若林正俊環境相
 仕事中は気付かなくて、帰りのんHK18:00からのニュースにて死亡を知る。このサイトでも散々不謹慎なことをエントリーしているのだが、そもそも人の死をネタにする時点でかなり不謹慎であるのでご容赦願いたい。いろんな視点があり、只今も大手新聞社サイトを巡りながら考えを整理していたのだが、余計混乱するので自分の頭に思い浮かんだ時系列で好き放題書いていきたい。
 まず、んHKニュースの対応に違和感を感じた。不謹慎なのは私もそうなのだが、あまり冥福を祈るとか、本人の潔白についての言及がほとんどなく、解説員の論調もちゃんと資金の流れを説明すべきだったといった発言が繰り返されていた。いよいよ安倍政権も末期か?、もう先が無いとなればんHKも容赦ないなぁと思いながら聞いていた。
 ただ、本当に安倍政権の断末魔の叫びなのか?と言われれば微妙である。彼の死も昨今の非難からすると自殺したというのは自然に納得がいきそうなもんだが、最近経営層の味方に転じている日経が安倍政権の支持率を逆転と報じた矢先であることから、参議院選とのかかわりが大いに感じられる。もしかすると彼の死の陰でこっそり権力層に有利な法案を通そうとしているかもしれないのはいつものとおり。今のところ政治欄でわかるのは政治資金法だの柳沢大臣の不信任案だの、年金の不祥事、教育破壊会議の思いつきだの目白押しではある。著作権法非親告罪化など、当事者からの暴露がなかったら、そもそもニュースにすらならないような法案などもあったりして油断がならない。
 いろんなサイトでは自殺と記述されているが、それも疑うべきかもしれない。直接的な原因は贈賄会社から献金、ナントカ還元水… 松岡氏に疑惑数々

 最近では、松岡氏が、官製談合事件で東京地検特捜部に摘発された緑資源機構発注の林道調査事業を受注した法人と関係のある団体から、多額の政治献金を受けていたことも判明。共産党は国会で、林道などの事業と関係のある政治団体を含む計9団体が、農水相に計約1億3000万円の政治献金をしていたと指摘していた。

 これに対し、松岡氏は「政治資金規正法に基づいて献金頂いた。適切にご報告申し上げたもの。それ以上申し上げることはない」などと答え、公共事業へのかかわりについて答弁を避けてきた。

 林業土木コンサルタンツやフォレステックなど、今回の官製談合事件で公正取引委員会から職員らが告発されたり、立ち入り検査の対象となったりした公益法人・企業やその代表者が、計852万円を松岡氏側に献金していたことも判明している。

 松岡氏の地元・熊本県阿蘇地域の建設業者は「東京地検特捜部の捜査が県内に及び、地元の業者の間では『松岡氏に捜査が伸びるのではないか』とうわさになっていた。捜査が自分に迫ってきたと思ったのではないか」と話した。

 と思われるが、農相自殺 「なぜ?」 談合捜査中の検察も衝撃

 ある検察幹部は「えっ、本当?どこで?」と驚いた表情。「なぜ、自殺を図ったのか。(事件との関連は)全く分からない」と言葉少なに語った。

 東京地検特捜部は機構理事らを逮捕した翌日の25日、松岡農相の地元、熊本県での大規模事業を所管していた関係部局などを捜索していた。

 法務省幹部の一人は「捜査とは全く関係ないだろう」と話した。

 ということらしい。まぁ捜査が彼を自殺に追い込んだと思われるわけにもいかないから、このような発言にならざるを得ないだろう。まこと美しい国である。
 思えば、議員会館の光熱費問題時点で辞めとけば、(仮に本人が疑惑追求に耐え切れず自殺したのだとして)死ぬまでも無いハズなのだが、今回の死亡についての根幹にも関わることでは有るのだが、やはり辞任したら罪を認めてしまうということと同義であるというのが発端であろう。ヘンな話、今までも辞任すれば政治家の犯罪への追及の手を緩めるといった日本の美しい慣行が存在しているであろうから、本人が仮に辞任したいと思っていても、政権自体が自ら汚点を認めるようなこととなるので、それを許さない雰囲気であった可能性もある。賄賂をもらっても返せばオッケーとか、国政の行われている首都での捜査ならともかく、検察が地元にまでやってきて捜査をするとなったら、たとえ潔白でもふるさとの恥さらしだし、クロならなおさらふるさとや政権に泥を塗ることになるので、彼が精神的にかなり追い詰められていたとしても自然ではある。
 ただし、それをチャラにする方法がたった一つだけあるのだ。どんな犯罪を犯しても、どんなに許されないことをして万人に非難されるようなことをしても許されるというたった一つの方法が。
 そうそれが死なのである。
 結局今の制度(それがいわゆる人の憎しみとかを無視できるとして)での欠陥といってもいいところなのである。死んだら逃げられるという意識というのが、「自殺してすべてチャラ」という行動に至らしめたのかもしれない。そして、もしかすると自殺じゃなくて他殺という可能性もあるのだ。内容こそ現時点で明かされていないものの遺書も見つかっているらしいし、まぁこのまゝ自殺として処理されるのはほとんど間違いのないところだろうから、あまり追及してもしょうがない。ただ、あらかじめ「万が一のことを考えて遺書をしたためておけ」と指示し、味方の場合が多いだろうが、確率は低くとも敵に殺されたという可能性も完全には否定できない。
 しかし、考えてみれば安倍総理大臣が不自然な庇い方をしてしまったおかげで死ぬハメになったような気がしないでもない。もし、彼が死なないというテストケースを考えれば、“光熱費の使用についてはすまなかった、本人も知らなかったようだしここはけじめをつけて辞任してもらう”ということぐらいしか考えつかない。ウソを許容するということにはなるんだけれど。辞めるタイミングを失ったために、政権与党に死ぬ絶好のチャンスを与えられたと考えるしかないようなピンポイントな時期に思えてしまう。「松岡よ、今おまえが死んでくれれば一番権力層にとって都合がいいんだよ」という、無言の圧力(もしかすると実際に言われたのかもしれないのだが)がかゝっているとしか思えないタイミングではある。安倍総理大臣も損得を超えた行動云々なんて言って、「オマエが言うな」とツッコミを入れられたタイミングでもあるし。
 とりとめもなく書き連ねてきたのだが、彼の死でざまぁ見ろとも思わないし、かといって同情するわけでもない。ただ、やっぱり日本の悲劇の一つにはなったんじゃないかと思う。彼は現首相の祖父のように、日本を戦争に追いやって多くの無辜の民を死に至らしめた殺人者ではなく、精々規模のデカイ泥棒に過ぎない。泥棒なら原状回復以上のことを被害者に償えば罪は許されるわけであって、そういうけじめのとり方をすればいいだけの話である。100円盗まれても、200円返してもらって十分反省し、以後盗みをしないという信頼を得れば充分これからも日本人として、同じ仲間としてやっていけるのである。労働環境を悪化させ、生活できないほど困窮させて日本の労働者を自殺に追い込んでいる他の権力層に比べればはるかに取り返しのつく犯罪者に過ぎない。そこは残念なところだと思う。
 なぜ権力層の暴走が今止まらないのか?という現状について、やっぱり過去の犯罪を死んで追及をやめにするのはマズいんでねぇの?というエントリーを近々書こうと思っていた。死人に鞭をふるうのは忍びない、犯罪者の子供にまで罪を及ぼさないという近代法の考え自体がもしかしたら間違っているんじゃねぇの?というのが要旨だ。
 死んで追求されないのなら、権力を使って生きている間は犯罪をしまくり、逃げ切ってしまえばいいというのが流れになってしまっている。そしてその時蓄財したものを子供に受けつげば、子供自身に罪はないということから合法的に権力も財産も継承できるのだ。今や権力層が相続税をとられないようタックスヘブンを経由して丸々受け継がせるのは周知のことである。そういうコネがない庶民だけ相続税をとられたりするのだ。そして権力層の子孫はそのことで後ろめたいことを感じたりもせず、祖先と同じように無茶を庶民に押し付けてやりたい放題しているのが現状ではないか?。
 ここはやっぱり死んで逃げ切りオッケーや、子孫に累を及ぼさないという前提自体が犯罪を助長している*1のではないかと思うのである。あとあと子孫にまで責任が及ぶとなれば、自然と人を痛めつけるということもないし、やらずぼったくりで恨みを買うことなくお互いが牽制しあってそもそも重大な犯罪がおきないのではないかと思うのである。親戚にも責任が及ぶとなれば、人を痛めつけるような行動を権力層がしそうになったら、まず親類がそれを止めたりするであろう。つーか、むしろ太古の昔に逃げ切りオッケーな人がいたからこそ、その防止のためにながらく親戚縁者まで罪が及ぶって文明が多かったのではないか?。
 近代法なんて日本では精々100年ぐらいの歴史しかなく、子供に罪科が及ばないと決めてしまった結果がもう出てしまっている。東条英機が従二位・勲一等旭日大綬章・功二級金鵄勲章って、何の冗談なのだ?。自分とか祖父が戦死して顔もみたことないのだが、勲六だぜ?。他にも人を死に追いやって自身は逃げた人間が叙勲なんてちょっと信じられない。戦争の罪もおざなりに、戦前からの権力を戦後も行使し、当然そのまご子もそのおかげで有利な立場のまゝ権力層にとどまってやりたい放題なんだが、これでもまだ庶民は犯罪者の子供に罪はないとか言えるんだろうか?。もちろん、自分の祖先の罪を必要以上に反省して慎ましやかに過ごしている遺族の方々もいらっしゃるのではあろうが。
 やっぱり権力層の逃げ切りを許すからこそこのザマなのであって、そうではなく罪はきっちり償わせる、というかそもそも罪なんかを犯させないようお互いに監視といわず、気を配りあう社会にすべきなんじゃないのか?。安倍の言っている戦後レジームからの脱却云々より、まず日本人として、何の罪もない庶民を死に追いやったあの時代の反省なりをちゃんとして罪を償わせた上で、残った人間でお互いを支えあう社会体制ってモノをつくっていくべきだと思うんだが。

*1:権力層の子孫もむしろ犯罪を行って権力強化してしまうというインセンティブになっている。犯罪の連鎖。