ガラスの艦隊 第10話「悪鬼のごとく…」

 あらららららら。そろそろ飽きどきかと思ったのですが。
 そうはいっても一年の長丁場、1話ごとにウキウキするのもなんですが。


 バルドー公(侯?)の引き抜きに、ミシェルとヴェッティが建前で勝負する話。まぁ順当に行って結果はわかりすぎるほどわかっていたのではありますが、本音のクレオがいちゃぁそりゃかないもしませんわな。なんかミシェル側の坊主がわりと話がわかる設定になっているのが意外。いくら建前と言ってもヴェッティの切れ者ぶりをもうちょっと堪能できるのかと思っていたのですが…。交渉の場面で面白かったのが、全権を掌握しているはずのヴェッティがいるにもかかわらず、本国に持ち帰って検討するということをバルドー公に馬鹿にされたところ。あれって、日本式営業のまずさを皮肉ったものですよね。今は改善されているのかもしれないんだけど、一昔前の日本の商社マンが現地で交渉する際、話がまとまる寸前に「これでいいか本社に確認してみます」ということが頻発していたらしい。本社側としてはほうれん草というぐらい現地社員を信用していなくて*1確認をとらせていたということなのですが、交渉先の相手としては決定権もない代表を送り込まれて話し合いなど片腹痛いと、日本の商売のやり方をとことんバカにしていた*2らしい。特に大企業にその傾向が強かったそうですよ。まぁヴェッティはそういう日本の商社マンにも劣る存在ということで。
 あとはレイチェルかな。ラルフの懇願でどうもレイチェルは参ったらしい。あのヴェッティに真剣に尽くす家臣がいるということだけでも心を動かされた模様。お嬢様よのぅ。まさかヴェッティのことを嫌がっていた自分から結婚したいなんてとてもいえなくて、父親に説得されるという形をとろうと反論に行ったその先でも、ゴルナ法王の言葉*3にもやられてしまったらしい。背中を押してもらいたいレイチェルと、都合の良い事態が積み重なっていく運のよさも手伝って、もう結婚しない選択肢なんて考えられません。でも結婚してしまうと途端に冷めてしまうという結末と、アツアツなんだけど盛り上がったまま相手と死別してしまう結末の二択しか無くなってしまうんだよなぁ。ヴェッティが死んでしまうと話のあとが続かないので前者かぁ?。いやストーリー構成の方には私の凡庸な期待を裏切ってくれる展開を用意しているんではないかと密かに願ってもいるのですが。凡庸な結末でも見せ方で満足もするので、というかこの作品がそういう作りではありますのでしばらくは目が離せません。
 しかし交渉が決裂したからってスグ攻撃とはおつむが足りないなぁ。その攻撃で相手を殲滅できるのであれば納得もするのですが。まぁそのへん全部生暖かく見守れるだけうまく作ってあるのでしょう。

*1:いや、組織構成員を把握しておかなくてはならないので必ずしもほうれん草というやり方が間違いだらけというわけでもないのですが、まぁ杓子定規にすべてのものをあてはめてたいていの事を台無しにするのが得意な企業もありますから。

*2:というか決定権のないネゴシエーターを送り込むことがそもそも失礼

*3:どうもレイチェルは父親が真剣に娘のことを考えてこの結婚をすすめていると思ったらしい。父親が本当に娘のことを心配していたとしても、そうでなくて娘を言いくるめるためにキレイ事を言ったのだとしてもレイチェルが感銘したという事態に説得力があって感心しました。