雇用者・被雇用者の問題

 昨日までとうとうと雇用者・被雇用者の両者に問題があると述べてまいりました。雇用者にしたってロクでもない若者を雇うわけにもいかないし、被雇用者にしたって人を使い捨てにするような企業に就職したくはないわけであって。ハリネズミのジレンマみたいなことが起こっているわけです。こうなってしまった以上、お気楽に雇用者が社会的責任を再認識したり、被雇用者が自己鍛錬をして耐性をあげたところで問題が解決するわけでもありません。
 例えばある会社が昔の制度が良かったからといってそのようにしたとします。当然条件の良いところには人が殺到します。良い人材も有害な人材も応募してきます。うまく良い人材だけ採用できれば良いですが、良い人材はそうでない人材に蹴落とされる場合も往々にしてあります。そして会社が食い物にされる。さて若者の側でも自己鍛錬をしてスキルも磨き耐性をつけたとしても、会社によってはノウハウだけ出させてあとはポイだったりするわけです。仮に良い会社が良い人材だけを選んだとしても、人を使い捨てにするような企業に人件費分のコストの差で淘汰される可能性が大きいわけです。
 別に就職難だけでなくいろいろな問題に内在するのですが、たとえ義憤に駆られて一歩踏み出すヤツがいても、そいつはよってたかって食い物にされて終わる可能性は大きいわけです。雇用者が悪い・被雇用者が悪いと主張したところで、言った人間はスッキリするかもしれないが、問題が改善するわけでもなく、言われた人間が気分を悪くするだけで有害であるかもしれないわけです。かといって現に会社が人を使い捨てにしたり、若者が現実逃避してどんどん屑になっていくのを放置していいわけでもありませんが。「みんなの心がけ」とか言う、まるで小学校の学級会のような結論を下したところで改善するわけでもなし。みんなの心がけで何とかなるんだったら、そもそもこんな事態になっていないだろう!と突っ込まれるのが関の山です。
 さぁ、収拾がつかなくなってまいりました。ただ前にも言った通り、いろんな事柄が複雑に絡み合っているわけです。たかだか一つや二つの視点から考えたところで結論が出るわけでもありません。出る結論だって単純だとは限りません。これまでに考えてきた中にもいくつか視点は挙がりましたので、また機会を追って考えてみたいと思います。ただ我々は糞であろうとこの世界を生きていかなくてはならないために、今出来ることをしていこうとは言えるわけです。人を食い物にしないよう、人に食い物にされないようにな。ただ、そんな心がけ程度では真剣に人を食い物にしようとするヤツらには勝てないんだけどなぁ。