つり球 第11話

 疑似餌が壊れるとは。
 いやぁ、釣り上げる前に一騒動起こすのは物語構成上のセオリーではあるんだけど、そのトラブルがどうなるのかをちょっと考えていた。単純にラインがぶち切れる、ドラグをし切ってしまう、ロッドがぶち折れる、など釣り上げ時のトラブルを挙げながら見てたんだけど、まさかルアーが壊れるとかちょっと想定外だった。が、確かにこれが一番しっくり来る。
 こうなんていうのか、盛り上げ方がまさに劇場仕様の映画っぽくて贅沢な演出。釣りの描写がまた奮っていて、これぞ塗りアニメの真骨頂といったところだ。おそらく実写だと、デフォルメ部分は陳腐になっちゃうだろうし、せいぜい釣り人のクローズアップや俯瞰だけで構成しなきゃならないから、このダイナミズムはならではのものだと思う。ストーリー上の要素も入れ子を作っては解消、伏線の積極的な回収を行っているようであり、複雑性はあまりないものゝ、そういう作業がパタパタ片付いていく様子が小気味良い。
 いやぁ、この作品を見始めたときは、釣りをテーマにのんびり日常を消費する雰囲気アニメかと思ったんだけど、大きな物語という構造になってたんだな。ぬるい物語と思っていたが、これは拾い物。宇宙人が魚という設定で、その魚を釣ることが地球を救うってなんの冗談か?と思うんだけども、そういう陳腐さも吹っ飛んでしまっているもんな。これはますます次回が楽しみ。