花咲くいろは 第3話

 いや、これはあからさまな、「善人しかいない」物語だなぁ。
 これまた話が主張したいことはこの話の中で言い尽くされていて感想が書きにくい。というか、もう評価が名作でもいゝんじゃねぇの?とか思っていたのが、亀甲縛りだの濡れ鼠描写だの、ほんのりエロが混じっていて迷う。自分もいゝオッサンなので、中年にも訴求力があり、中高生向けの教育ドラマとしてもよくできていて、ご老体にもウけるんじゃネェのとは思ってしまう。主人公格のキャラが女子高生ってのはどう評価に機能するのか難しいところだけど、朝の連続テレビ小説のアニメ版とはいえ基本この作品はおとこのこ向けのような気はするな。F1・F2層は女子高生にやっかみそう。そういや思い返すと朝の連続テレビ小説に出てくる女子高生とかイモねーちゃんって風なのかと今さらながらに納得。
 緒花が売れない小説家を激励する「輝きたい」というテーマなんだが、人間誰しも自分を主人公とする物語を生きているっていうところだろう。自分なんかのようにオッサンと呼ばれる歳になると、もう限界がわかってしまうのか、輝くとかそんなの眩しすぎる感じだ。むしろうまく枯れたいとすら思ってしまうのだ。だからといって退屈な毎日を送りたいってわけでもない。が、なんてことのない日々を平穏に暮らしたいぐらいで、毎日が心を揺さぶるような感動の時でなくていゝのだ。いや現実問題そうなってはいないわけなんだが。
 で、緒花の年頃だとなるほど生きるということに意義を見出したい、楽しい日々を送りたいってのは若者の特権と言っていゝぐらいのもんだと思う。就職難のこの時代、あまり希望をもちにくい世の中であり、この作品が見据えているターゲット層がまさに中高生だと考えると納得がいく。次郎丸もまだやり直しのできる、いや彼自身の年齢からするとまだビッグになる可能性が残されている年頃なわけで、これまた若さを感じてしまう。そしてオモロイのはちゅーねんである自分が、この物語を読む主体として、その若さ自体が眩しく輝いており、しかもその眩しさに嫉妬するってわけでもなく、自分の若い頃をしみじみと振り返ってしまうものである。
 いやもうね、仲居が若い綺麗どころばっかりってな時点でお伽話でしかないんだけど、そしてこういう接客業がこんないゝ話で埋め尽くされているなんてことは全っ然ないんだけど、まぁ見たい物語ではあるよな。