とりとめもないんだけど、合衆国ってホント奪うだけなんだろうなと。

 平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)読了。主なポイントは「大蔵省・財務省は財政健全化に舵を切りすぎ」、「子鼠・ケケ中を初めとする自民盗は国富を外資に献上しすぎ」の2点でいゝのかな。筆を怒りに任せて冷静さを欠いているような気がするが、この人の独自取材で明らかになった事実を考えると、なるほどゝ思わせるものがあった。たゞ気になったのは、年金問題の記述。財源に問題がないような書かれ方なんだけど、ホントのところどうなんだろ?ということ。現在マスゴミが年金の財源について危機を煽っており、その是非を確認しようもない。しかし、消費税が導入されたときや5%に引き上げたときも福祉目的という触れ込みだったが、結局のところ福祉にも年金にも投入されてはいなかったわけで、今回の空き菅内閣の消費税10%への引き上げもマスゴミのミスリードである可能性が凄く高い。
 で、日本は債権国であるというのがずっと頭にあって、前にも述べた「実は日本は経済的に大丈夫なんだけど、国際的にそういってしまうとタかられてしまう」ってのがあるのかという気がしたのだ。で、実際に日本の国富を合衆国に横流ししたのが子鼠・ケケ中であり、また空き菅もそうであるというもの。だが、日本の経済が安心できるものであるならば、なぜ庶民は高失業率・低賃金で塗炭の苦しみを味わなければならないのか?という疑問も湧く。まぁこれもバブル崩壊後の自民盗の税制改定で、貧乏人から金持ちへの所得移転が行われたと言ってしまえばそれまでだ。普通逆だろ。
 繰り返しになるのではあるが、戦前・戦中の日本の産業は技術力が低く、メイド・イン・ジャパンと言えば一昔前の中国製と同様粗悪品の代名詞だった。それが敗戦後、合衆国による1USD=1〜2JPYから1USD=360JPYの切り替えによって、超円安に固定されてしまう。これは今振り返ると輸出が有利になるという意味では割とプラスの面もあったと思うのだが、よくよく考えてみればこれは合衆国による日本弱体化の狙いがあったはずだ。日本は無資源国であり、しかも低技術となれば、原材料が超円安によって高くて買えなければ産業は滞るはずだった。実際に占領軍は日本の戦略物資や生産施設を接収したし、敗戦直後は日本の経済は著しく停滞した。あの当時国産で兵器を調達できた後進国は日本ぐらいのものだ。その日本の経済(産業)を破壊して、軍隊も解体した。金銭価値も著しく下げたんだから、もう欧米に歯向かうこともないだろうという目論見があった。
 それが、朝鮮特需、その後の高度経済成長期を経て、日本の経済は欧米にしてみれば奇跡的な復活を遂げるのだ。で、'80年代には日本は「ジャパンアズナンバーワン」だの「エコノミックアニマル」だのという言葉に象徴されるように、経済的に世界でナムバー2の地位に登りつめる。これも今考えるとやりすぎだったのだろう。赤字輸出までしてシェアの獲得に奔走し、他国の産業に壊滅的な打撃を与えるほど売り上げを伸ばしてしまう。これがいけなかった。他国の領分を侵して富を過度に奪っただけでなく、それで得た富は結局のところバブルの狂奔で国民に空虚な贅沢を覚えさせただけに終わる。バブル時期にも過労死が多かったというエントリーをあげたが、多分あの時期に日本は生産調整を行い、他国の産業に脅威を与えない程度の輸出に留めるべきだったのだ。それで別に国民が飢えることもなかったろう。生産調整をした分労働時間は少なくて済んだであろうし、輸出を控えた分、過度の円高にもならず、日本の雇用もこれほどまでに悪化はしていなかったんだろう。ホント、あの時「日本は内需を拡大せよ(つまり過度の輸出はするな)」という海外の意見は正しかった。が、日本はQCを徹底し、低価格競争を強いて海外の産業を叩き潰した。そして高品質・高機能競争の渦に全世界を巻き込んだのだ。例えば、自動車一つとってみても、合衆国に大量に輸出なんてしなくてもよかったのだ。品質のよい日本車を合衆国民が欲しがったとしても輸出を絞る。それでも日本車が欲しいという層は高価格でも買うだろうから、大量に輸出しなくても利益は確保できたはずだ。あとはバランスの問題。あの当時日本車の経済性がいくら優れていても合衆国の自動車産業は“アメリカーン”なクルマを生産したがっていたから、日本は技術面で合衆国を常に圧倒しつゝ、合衆国の産業を潰さない程度に共存・共栄ができたハズなのだ。でも日本企業はそうしなかった。日本国内ですら開発競争にしのぎを削り、バブル時期など新車は3年で手離して別の新車に乗り換えるものという風潮にさえなったぐらいだ。
 で、そうやって日本企業が全世界、特に合衆国の産業の恨みを買って反撃され始めるのがバブル時期からということになる。まず、日本自体が過度の製品開発で日本市場を飽和させてしまっており、買い換え需要というのをアテにしなければならなくなっていた。しかも要らない機能を押し売りする形にまでなる。低価格競争の時代にもなり、部品の耐久性を落としてコスト削減に努めた。耐久性が落ちれば買い換えも頻繁になるという目論見(ソニータイマーなんて著しいだろう)もあった。これが輸出品にも適用され、世界市場はいやがおうにもそれに巻き込まれてしまう。日本企業は日本で失敗した轍を、世界でも踏むという形になる。この過程で日本企業は日本の雇用も破壊していく。日本はやりすぎたのだ。
 で、バブル期までに海外から奪った富が今はまだ潤沢に残っている時期なんだと思う。そうは言ってもこの円高で大分毀損してるとは思うんだけどね。まぁドルを買っても米国債なんて買わずに金を買っとけばよかったんだろうけど、世界一の金保有国合衆国がそれを許すはずもなかったんだろう。で、今、日本がするべきことってのは、まだ日本自体が債権国であるうちに、輸入に頼らなくても持続していける国家作りなんだと思うんだけどね。経団連あたりがまだ、輸出にこだわっているようだけど、輸出すればするだけ円高になるわけで、それは輸出企業が自分で自分の首を絞めているワケだよ。もちろんまったく輸出を止めるべきとまでは言わないんだけど、そして日本が往時の輸出競争力があるわけでもないんだと思うんだけど、海外と競争しなくても国内経済をまわしていけるシステム作りをしたほうがいゝと思うんだけどねぇ。まぁまだ合衆国は日本の国富を狙っているようだから、その陰謀に乗っかって横流ししようとする文字通りの売国奴を粛清するのが先だと思うけどね。