とある魔術の禁書目録Ⅱ 第9話

 最後の啖呵きりは小気味はいゝんだけど、くどすぎる。
 うーん、当麻があれだけ見栄を張ったから、てっきりこっち側が正義だと思ってしまうんだけど、よくよく考えてみれば微妙だな。戦争を引き起こしかねない戦略兵器スタブソードの取引を阻止することは、一見戦争抑止に繋がるから良いことのように思うわな。が、戦争を起こそうとする側が、不当な抑圧を仕掛けてくる相手に対抗する手段としてってことならば、そしてこちら側が搾取側であって相手を覇権で抑圧しようとするのであれば、どちらが正義かわからない。前回は取引の詳細は述べられていたけど、そういう背後の状況説明ってされていたっけ?。
 今回のポイントは、イギリス男衆の自己犠牲にも似た侠気と、御坂の萌え萌え描写だろう。そしてクライマックスに萌え描写を優先するスタッフに乾杯。
 侠気のほうはちょっとクどいかな。任務完遂のための自己犠牲って、特に政財界のあたりからは搾取の肯定によく使われるから警戒しとかなくっちゃぁならないんだけど、少なくともステイルは個人的な欲望が原動力になっていて回避の労はとっていたのかなと思われる。自分の中でブームになっている刀語がしばらく頭を離れないのだが、あの中にあったエピソード、自分の組織の不手際のオトシマエのため、鳳凰に進んで殺されるかわうその自己犠牲を思い出す。どちらも狂信者による自爆テロに通ずる危うさが感じられるのだが、自分の中では(命を失わなくても)やはりかわうその行為に目を見張る。肯定的側面を見ると、どちらも自分を他者のために与える行為なのだが、人間が社会的存在であるということを考えると、ステイル達の行動は自己完結的に過ぎると思う。若い頃の自分だったらたぶんステイル達のほうに共感というか羨望を感じていただろうケドな。
 御坂萌え萌え描写は、見ているときにはときめくんだけど、後から考えると「ありえねぇ」と現実に引き戻されてしまう。まぁこの作品のドラマ化は難しいんだろう。内面を誇張して提示できるのがアニメのメリットだから、こんなもんだろうとは思うんだが、やっぱ自然の(ドラマで言うならば)演技のなかに覗く真意ってのが見てみたい。だからアニメはお子ちゃま向きって言われるんだろうなとは思う。まぁいくらこの作品が深夜アニメで社会人も対象とはいえ、スタッフにとってはやはりターゲット層は中高生が本命だと考えているだろうから、商売としても社会的に見てもこれが正解だとは思うんだけどね。やっぱオルソラ救出エピソードが予想外に自分にはヒットしたので、あのレヴェルを期待してしまう。