学園黙示録 総評 続き

 前はゾンビがなんのメタファーかでうだうだ書いたんだけど、日を置くにつれ何を書きたかったのか忘れるし、もう一度視聴してまで書こうという気にならなくなってくるな。しかし主人公たちが相手にしている「敵」を明らかにしといた方がいゝかなとは思っていたのだ。が、ストパンでも敵がなんなのかをはっきりさせなくとも伝えられるものはあるわけだ。いや、むしろ敵は自分の中にあると言ったらよいか。但し、他の作品でもそうなのだが、主人公たちが陥っている危機が、現実の視聴者を取り巻く危機と構造として同じでないと説得性は持たせられないわな。ゾンビが我々を取り巻く日常に存在するものでなくて、どっか別世界の絵空事だったら共感を持ち得ないというか。
 最初舞台が学校であり、タイトルに学園とあったせいで、てっきり学校内だけで物語が進行するのかと思っていた。が、学校を出ることによって問題はたしかに日常化していったと思う。が、あんまりそのへんは重要ではなさそう。最初の舞台が学校であり、その次は個人宅や橋梁を通じての道路インフラ、そして次回はスーパーマーケットと、我々の生活に欠かせない場所を転々として、そのインフラとしての重要性に目を向けさせていくという趣向はありそうである。
 で、本作の生き残れという主張のほかにも、個人としての、もしくは与えられた役割に対しての矜持ってのはあろうかと思うな。もちろん冴子が言っていたところの男としてのとか女としてのというのもあろうし、高城家では当主としてのとかそんなの。教師としてのって部分はむしろ反面教師のが多いが、警官とか社会的役割に対しての敬意は払っている模様。生き残るという主題にしても、視聴者に考えさせるための材料がそろっているから、原作未完でもアニメ化を決断したんだろうなと。
 組織論ではあるが、まぁ大分他の作品でも述べたことなんで、あんまり取り立てて言ってもなぁって感じではある。他の作品ほどではないにしろ、各キャラはどこか欠陥というか完成した個人ではなくって、お互いに補い合いながらって部分は共通していると思うし。
 エロの部分だが、まぁもうこれはさっぱり視聴者を決め打ちしたとしか考えられないので、全年齢層云々、男女云々は言うだけ野暮かなと。自分的にはやりすぎとは思ったけれど、男だからねぇ。戸惑うほどではなかったわけで十分に楽しめたといえばそう。
 音楽については可も不可もなくってところか。EDをすべて変えてきてたけど、ストーリーの余韻に浸る時間に、同じ背景で曲だけ変えられてもありがたみは少ないかな。やはりそらおとのような作りこみのある作品と比べると、見劣りはする。別に取り組みが悪いわけではないのでもったいないとしか。
 というわけで、メモにしては吐き出す量が少ないのだが、とりあえずの区切りということで。神は細部に宿るとはいうが、ストーリーと細部のバランスはあまりよいとも思えなかったかな。が、提示が強烈ではあるので、それを補って余りあるというところか。新奇さという点ではそれほどでもないんだけど、気概の示し方がさすが佐藤節って感じで惹きつけられたとは思う。原作者には飽きる前に話を終わらせてくださいとしか。おもろ+。