ストパン2 第12話

 もっさん、自らウォージャンキー宣言。
 いや、微妙な所で断言するのもなんだが、自己犠牲を美化するなよなと。もっさんの前に立ちはだかったミーナは、殴ってでも止めるべきだし、それでも行かせるのなら、その時点でもっさんのバックアップ体制をとるべきなんだよな。で、宮藤の飛び出しのときもそう。やはりミーナが指示して宮藤のバックアップ体制をとるべき。結局もっさんと宮藤の独断専行は結果的に成功したのであり、誰もが無理と思っていたわけだろ。もっさんですら、いゝ死に場所を見つけたという動機しかなく、成功不成功は二の次だったワケだし。というのが一つの見方。
 で、もう一つの見方ってのが、現場の卓越した判断を信じて裁量を与えたというもの。成果の可否はともかく、もっさんは大和の動力を制御すればネウロイは倒せるのであり、大和を動かすことのできる可能性を一番持っているのが自分であるというのはわかっていた。彼女自身の必殺技「烈風斬」にこだわることなく、メインの作戦遂行には従っている。そういった意味では宮藤のほうが思いつきの度合いが強くてヘタレ度合いが強い。彼女自身が残存魔法力を示すことなく、しかも一度も試したことのない「烈風斬」それもよりによってもっさんですら完成し得なかった「真」のほうを根拠にするなど、お花畑にも程が。
 さて、こゝで冒頭のテーマに戻るんだが、上層部の失敗を糊塗するために、若者をだまくらかして特別攻撃隊という自殺を強要するような作戦を立てゝ、志願制といゝながら実質強制させた某時代の某国の某軍隊もあったわけなんだが、さすがにミーナはそれとは一線を画す。で、彼女は部下を死地に追いやる命令は一つも下していない。もっさんの件ももっさん自身が進言している*1し、宮藤の件も宮藤自身が進言している。ミーナの指示はあくまで作戦を放棄して撤退することであり、決してロマーニャ解放作戦の継続ではない。部下にバックアップさせるべきと言ったが、そもそも宮藤の行動自体が自殺行動であり、そのバックアップも自殺を強要するものに近い。こゝはやはり部下からの進言が無いとバックアップすら命令は出来ない。そういった意味では、ミーナは一貫して部下の裁量を尊重しており、瑕疵はないように見える。
 で、宮藤の思い込みもアレなんだが、もっさんは見殺しにしたウィッチ達は宮藤にはかなり好意的だ。これも宮藤自体の人柄によると思ってみる。宮藤は階級が一番下だから当然なのかもしれないが、調理を嫌がらずに、というよりみんなに喜んでもらうという意思の元、やっていた。組織の下支えを進んでやっているワケだ。で、サーニャとエイラの回では、彼女たちの一緒に任務を果たしたいという思いを汲んで、エイラに支え役を譲っているワケだ。つまり他人の思いを尊重するという心遣いを示しているワケだ。そういう宮藤だからこそ、周囲のみんなが彼女を信じて進んでバックアップにまわったと見るべきだろう。
 で、魔法力が無くなったはずのウィッチ達がなぜさらに行動できたのか?については、やはり自分の「思い」を実現するために別腹の力が湧いてきたと考えるしかない。いや、茶化しているわけでもなんでもなくって、ブラック体質の職場のようになんでもかんでも命令で理不尽な作業をさせられる場合と、自分のやりたいことに没頭し周囲もそれを理解して仕事をやっている場合とでは、疲れ方がそもそも違う。前者は心身ともに消耗が激しく、ストレス・疲労も蓄積してた易く「過労」状態になり、最悪の場合死に至る場合が多い。後者だと、もちろん過労状態で疲労が蓄積することもあるが、そもそも疲労の度合いが軽いし、その仕事をこなすことでむしろスキルがアップすることも多い。人に強制されて何かをさせられる場合には、その仕事の都合で無理を強いられることが多いが、自分の裁量でやっている場合には力の入れどころ・抜きどころがわかるために、体力の温存や開放が自在にできるわけで、消耗も少ないワケだ。そんなわけで、彼女たちが疲労しきっていたわけではなく、別腹で動けるってのはそういうところもあるだろう。でもまぁ宮藤はもっさんを助けに出動するときには巨大な魔方陣が現れていたわけで、魔法力全然大きいジャンというのが示されており、発艦で手間取ったり、ふっと力が抜けたりするなよとか思っていたのは内緒だ。
 というわけで、ネウロイが倒せてロマーニャ解放ってのはたゞの結果でしかないワケだが、一応宮藤がネウロイを倒すのと交換で魔法力を失って、彼女の物語は終わったといえる。武器の残骸という最終シーンの後におわりの文字があったから、これで打ち止めかと思ったら、前シリーズもおわりの文字はあるのな。エピローグでは他の部隊の風景の描写があったが、彼女たちの物語が続編になるにせよ、501の奮闘の後訪れた平和な日常という描写になっており、あんまり続編の必然性は前シリーズよりは感じない。前シリーズでネウロイとのコミュニケーション云々がいきなり冒頭でキャンセルされているのも、どう考えたらいいのか?。ロマーニャ解放後のネウロイとの勢力争いがどうなっているのかも説明がないし、これだけキレイに終わってたら続編がなくても納得だし、あったらあったで手をつけてみようかという気にはなる。前回501が組織としてワタワタしていたが、最終回としてよく〆ているなと感じた。

*1:で、ミーナの命令はあくまでも生きて帰れなのだ。