Angel Beats! 第10話

 バカな味方は敵よりやっかい。
 あ゛ぁ、このフレーズを使うことになるとはよもや思ってもいなかったのだが。いや、なんというか、音無は自分のやっていることが正しいと思い込んでいて、それでやってることが仲間を消滅させることなんだよな。たとえば、今回のユイの件にしたって、よくよく考えてみれば、あのまゝ消えずに毎日を生きるほうが、今までの描写からすると精一杯の生を送るってことになるだろう?。それが、ユイの幸せを無理矢理聞き出して、音無が考える「ユイにはこういう体験を与えてやったら満足して成仏するだろ」という、身勝手な押し売りをして、むりやり消そうとしていたわけだ。音無にはまるで周りが見えていない。これ、好意の押し売り。
 で、自分は日向がいつ出てくるかが心配でならなかったのだけども、彼の行動を予測するに、サッカーのころからユイと音無の行動をチェックしていたらしい。で、どうやら日向は音無の目的にとっくに気がついていたらしい。で、音無か気持ちの入っていないウソをつく前に、日向が名乗りをあげる。もしかすると、音無のおためごかしでユイが万が一消えるようなことがあったら、それこそ日向は後悔してもしきれないから。そのあとの描写はクサくても美しすぎるわな。否定して欲しくて自分を卑下するユイの台詞は堪んないよな。で、それをわかって囁く日向もこの上もなく美しい。
 うーん、前回はあまりにもな掌返しにビックリしたんだけど、そもそも第1話の構成からして、この物語は徹底的に逆説的話法に則っているらしいというのに思い当たって、やられた!って感じだ。ユイ&日向(および導入部としてのユイ&音無の部分も)が美しいからこそ、音無が正しいと信じて仲間を消しているという行動の滑稽さがより際立つという構成。だって、SSSの面々が、精一杯自分の生を尽くすために戦っているのに、音無がそれを片っ端からぶち壊しているんだぜ。
 そして、そのトンデモ音無の行動に素直に従っているかなでもなんだかなぁで。元々成仏させたがっていたのはかなでであって、その片棒を喜んで音無が担いでいるわけで、とんだ食わせ物だよな…。