ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 第10話

 結局、ジャコットは自殺したんじゃねぇかと。
 しかし、一人になって山で50年か…。壮絶だな。悟ったような台詞ではあるのだが、その50年の間、もうほとんど相手がこないのをわかってゝ、待ち続けたんだろ?。捨てられたというよりは、しょうがないって部分が大きいのがまだ救いだわな。とはいえ、相手は妻子ある身でジャコットと付き合ったワケだから、最初っから結ばれないのはわかっていたわけで。本妻と喧嘩せず、息子がたぶん愛されていただろうというのが想像されるわな。保養地なんだったら、身持ちが固いって風習でもないかもしれんのだが、それでも一人身を貫くってのはいい女だよな。
 しかし、他の男に乗換えないってのが悲劇の元ではあるんだよな。新しい男とくっつきゃ、昔浮名を流したこともある…って程度で、幸せな家庭を築けてたかもしれんわけだろ。
 で、リオが糾弾したせいで、ジャコットも自分の人生を振り返らざるを得なくなるワケだ。もちろん一人身を貫いている以上、彼女の「男の約束があればそれだけで満足」ってのは、そう考えていないとやってけないだろという、一種の処世術というか、割り切りだ。同じような境遇のリオが反論しちゃったら、彼女のあり方が否定されてしまうわけだよ。彼女だってもう相手が来ないことなんて心の中ではわかってる。その彼女の唯一の拠り所が決壊しちゃったら、もうすべて終わりにしてしまおうって流れになるのは自然だろう。
 リオは若いからこそ激情をぶつけてしまったわけなんだが、だからといって彼女が物事の機微をわからない人間というわけでもなく、ジャコットは老いているからこそおだやかな物腰ではあるんだが、かといって脆くもあったって構造がなんともペーソスを感じさせた。たぶん古傷に触れなきゃ、こうも早い結末にはならずに、「ジャコット婆さんは厳しい冬を何とか乗り切りました及びいつもより厳しかったので乗りきれませんでした」で終わってたことだろうと思うんだけど、リオもジャコットも多分こうなってしまった原因がわかってないと思う。ま、ジャコットの結末は物語のフォーマットに従っているだけと言われればそうなんだが。
 で、リオは腹違いの皇族らしい。もう間違いないよね?。