バカとテストと召喚獣 第13話

 もうムッツリーニは本名を忘れてしまったよ。あとEDで女をあてがわれない秀吉、悲し。
 最後はいい雰囲気で終わったな。最終回ということで、広がっていた風呂敷が畳まれていて、整理するには結構煩雑。一番心に残ったのは、F組の組織としてのありようで、校長のモノローグと合わせて考えてみると、これがまた居心地がよさそうなんだわ。
 うーん、なんつーか、ここしばらく自分の頭の中にあるのが、「深夜アニメは以前と比べてかなり大人層を意識して作られているのではないか」というもの。そしてこのアニメはラノベが原作なのだが、そのラノベも大人層を意識しているんじゃないかと(ラノベは実はほとんど読んでないのだが)考えてしまっているのだ。まぁこのへんのうだうだした考察はまた機会があれば書くとして、そう考えると、このF組ってのは就職先としてどうなの?という部分にかなり惹かれた。
 A組の描写があまりないので、比較対象として不十分だとは思うんだが、自分が働くとしてF組みたいな組織は居心地がいいだろうなというもの。そして居心地がいいから怠けるのかといえば、そうじゃない。で、設備が整っていれば組織として優れているのか?と言われれば、なにより雄二や瑞希がそれを否定してる。レヴェルは低いだろうから、学力が高い生徒にとっては物足りないってところもあるんだけど、翔子の立ち位置が絶妙で、仕事場として考えると翔子は確かにA組なんだが、今回役所での手続きの報告を明久にし、婚姻届をムッツリーニに都合をつけてもらったところをみると、コミュニティ的には彼女はF組に所属している風に見えた。
 翔子は雄二が好きであっても、それを理由にF組に来たいかどうかはわかんないが、瑞希はどうやらそうではないらしい。もちろん明久がいるというのも大きな動機なのだが、彼女の能力がF組だけじゃなくて彼女を生かすためにも、活用される場面が多くて、しかも危機的状況に陥っても助けてもらえるのだ。そして、勉強は…というより、自分の能力の向上は自分で行うものであってって部分が今回描かれていた。もちろん環境に左右されるのだが、能力の向上を企図した時に、他人が邪魔をしたり、足を引っ張ったりするという組織ではない。まさにF組は瑞希の居場所になってる。
 いざ勉強を積み重ねて、官僚になって政治家の利益誘導を手伝ったり、けっして国民のためにならないことを業務として執り行うことや、大企業の中で、社内政治にあけくれ、出世のために他人の足を引っ張ったりして高給を食むより、弱小企業であっても、全部の能力が高いわけでもないが、なにか一つはつきぬけたものがある社員がいて、同僚とバカ言いながら日々楽しく仕事するのとどっちがいい?ってことだ。いや、自分は後者を望んで就職したはずなんだけど、一部ヒラメがいてしんどい思いをしているって個人的事情はさておくとして、やっぱそうだろ?って部分はある。高給だとか報酬で恵まれているってのにも魅力はあるが、断然自分は仕事のしやすい環境を選びたい。
 校長もなかなか微妙だわな。公立じゃなさそうだから60以上ってことも考えられるんだけど、フツーに考えたら50代後半だろ。そしてこの世代がいま日本の経営層・管理職として一番ダメな層なわけで、今の日本の惨状を招いている世代だったりする。団塊の世代はどちらかというと、校長のモノローグでいうところの「みんなのために力を合わせてがんばるのがあたりまえだった」というのではなく、むしろ名前が示す通り、世代人口が多かったから、競争が激しく、自分さえ良ければいいって人間が数いた世代と言われている。もちろんそうでない団塊もいて、自分のためだけではいけないと思ったからこそ学生運動にはまったりしたのだろうが、いかんせん運動の中で逆にセクト主義に陥って自分のためだけの運動に堕していったり、公的権力に弾圧されてそういう気風が退化したりした。すなわち、みんなのために頑張るって層は淘汰され、自分のためだけにって層が先鋭化して、日本がこの有様だったりするのだ。みんなのために力を合わせて頑張るって層はむしろ団塊のもうちょっと上の世代だったりするのだが、これがだいたい福田康夫の世代になる。そしてプレ団塊小泉純一郎、モロ団塊がケケ中で、そして、今大企業の管理職の世代が安倍と同世代になる。あぁ、なるほど、安倍と同世代ならとてつもなく無能なのがわかるわ。まぁそれはおいとくとして。ただ、校長は今の日本の惨状を招いた世代とは対立概念に属するという設定だろう。彼女の口を通して、団塊やポスト団塊世代の批判をするという構造になってる。
 で、明治・大正・昭和初期なんてのは、地方の英才は「末は博士か大臣か」と嘱望され、地元に援助されて中央の大学で学び、出世をし、ゆくゆくは地元のために尽くすというのがパターンとして考えられていた。だがどうだろう?。ここ20年ほどは、中央で出世した連中は地方の富を吸い尽くして、恩を仇で返すような真似をしている。実際には東京に住んでいるのに、選挙区は住んだことの無い地盤で当選し、地元を搾取するような政治屋が目立って増えた。東大に行った連中も、官僚になって日本を壊し、外資に流れて日本の国富を消尽しで、ロクなもんじゃないし、慶応なんてカネカネ亡者でしかない。地方には仕事も無ければ、有力な高等教育機関も無いが、都市に出たところでダメになって帰ってくるばかりだ。もう中央で勉強・出世というスタイルは破綻している。
 だから、その破綻ぶりを瑞希の行動によって示したのが今回の話といえる。もう瑞希はレヴェルの高いクラスに行くことの有用性を感じていないのだ。知識はあったほうがいいが、知識を溜め込むことだけに関しては意味が無い。知識の活用の仕方は雄二が受け持っている。システムダウンを復旧させるという実務をこなしたのはA組ではなくF組の生徒だ。実力はある。そして理解する仲間が居、ちゃんと居場所になってる。もうその居場所を捨てて、大臣や博士になるための努力をすることに意味なんて無い時代になっているのでは?ということなのだ。中央で得られる知識なんてのも、結局は他者から奪い取るだけのもんなんだろ?というわけだ。それは決して仲間も自分も幸せにしない。
 まぁそんなこんなで、だらだら長くなってしまったのだが、校正も総評も面倒なので後回し。忘れてしまうかもしれないので、おもろ+だけは宣言しておきます。