屍姫 玄 第12話「屍の果て」

 眞姫那が選んだのは現実と格闘すること、そしてそれが生きること。
 赤紗が元の屍姫に未練を感じて北斗にフルボッコされる。なんかいっぺん死んで屍もしくは屍姫としてよみがえるって設定になんの意味があるのかという結末に。まぁ人間極限状態に追いつめられて初めて、それまでの自分の境遇などがあたりまえのものでないのに気付くって構成なんだろう。生きているうちは生きていることのありがたさを実感することがそもそも難しい、ならばいっぺん死んでみる?ってなわけだ。
 さて、赫の時にはもうちょっとウェットな感情が主かと思っていたんだけど、玄に入って抽象度が増した。前半はちょっと言葉遊びっぽいきらいはあったが、後半になるにつれわりと本質に迫るような突き抜けは悪くなかったと思う。設定がいじくられているのが気にはなるが、そもそもポエムっぽい台詞からリアリティを期待する作品でないのはわかっていたこと。人間の感情の重苦しさを感じさせながら、それでも現実と格闘すべきという主張に集約されてきたのは落ち着き先として十分。システムや体制に人間関係を強制されるのではなく、個人との結びつきを大切にすべきというのも平行しながら進められており、なかなか勢いのある作品だったように思う。
 はじめは棒として話題をかっさらった本作品だが、眞姫那はともかく、最後には鼻紙くんの演技も気にならなくなった。まぁ演技に偏った作品でもないしな。絵も音も凝っていて自分好み。最後ちょっと駆け足で視聴してしまったが、かなり楽しませてもらった作品だった。おもろ+。