アタックNo.1 第97話 全日本(オールジャパン)絶対絶命

 ケニアのマヌンバと日本イタリア戦の二話構成。
 で、どちらも状況で視聴者をミスリードし、答えを見せて疑問を氷解させるというもの。マヌンバ話は倒れたマヌンバがなぜ体調が回復しても試合に復帰しなかったのか?で、イタリア戦では、木山の暴走になぜ猪野熊が状況打開のメンバーチェンジをしなかったのかという投げかけだった。どちらの答えもチームワークのための適切な判断だったというもの。
 マヌンバは試合開始早々緊張による貧血で倒れて控え室に運び込まれてしまう。マヌンバというエースを失ったケニアは彼女抜きで試合を続行。こずえはジュニアチームで見知っていたマヌンバのために、日本随行医員を伴って彼女の治療に関わる。マヌンバを欠いたケニアは0-7でリードされている。医員の注射やこずえの看病で落ち着いたマヌンバ。マヌンバのために控え室を飛び出して試合をみてくるこずえ。こずえはマヌンバに試合の推移(7-11でいまだリードされている)を伝える。頑張り屋のこずえは当然同じ頑張り屋のマヌンバも試合に復帰して状況を打開するものと思い込んでいる。しかし、体調の回復したマヌンバはなぜか試合に復帰しない。なぜ?。
 初戦でイタリアと当たることになった日本。それまでの各国の状況を見て、他チームはどこも強敵ぞろいで勝つのは難しいと物怖じするメムバー多数。が、なぜか木山は自分の一人時間差で奮闘して頑張ると気炎を吐く。前回木山と和解したこずえはそんな木山を見て心を奮い立たせられる。試合開始から木山はあまりに気負いすぎ、他人のスパイクボールを無理やり横取りしてまで一人相撲を行う。テレビの解説でも日本チームのチームワークの混乱を指摘される有様。でも試合に勝つことに必死な日本チームはあまり木山のワンマンを責める雰囲気はない。第一セットは当然日本チームのボロ負け。第二試合までの休憩時、木山は自分の一人時間差の精度を上げるため、それまでベンチに控えていたこずえを出すよう猪野熊コーチに進言。ゲームキャプテンもこずえをコートに上げることを進言。チーム全員がこずえの投入で状況の打開を図るような雰囲気の中、なぜか猪野熊コーチはこずえの投入を否定。こずえだけでなく、メムバーチェンジはイタリア戦では一切行わないことを宣言。こずえの必殺技も完成しているのに、カイゼンしない猪野熊の行動にこずえは煩悶する。こずえが出れば状況が改善するかもしれないのにしない。なぜ?。
 大局で見て、どちらの答えも同じものなんだが、ケニア戦でのマヌンバの答えがイタリア戦にも生きていて(だけでなく、前回のエピソードも絡まって)、多重構造になっていた。試合に出たいのに出られない、というか試合に出るチャンスを猪野熊の決断で潰されてショックを受けるこずえも大概幼稚でニヤリとするポイントなんだが、まぁ妥当な判断だわ。外野のうるさい日本人なら、なんでマヌンバを出さないんだ!とか、なんでこずえを出さないんだ!と言って非難轟々だろう。でも答えは違うし、それにはちゃんと理由がある。いくらここで示された“正しい”行動をとったとしても、必ずしも勝利が得られるわけではない*1が、まぁそうだと思わせるには十分。っつーか、多分今の日本だけでなく、当時の日本人も監督気取りの外野がうるさかったりしたんだろう。選手に過大な期待をかけて、金メダルをとれなかったら国賊扱いするのは日本の伝統だしな。が、こんな話が成り立っていたということは、まだ昔のほうがこういうチームワーク論が受け入れられる素地はあったのかも。
 中国チームが出ていて、でも細目のニーハオ顔でなかったのが意外。当時は文革前夜だったんだよな。

*1:いちおうケニア戦ではケニアは負ける。日本は負けてしまうと話がここで止まってしまうため、一応チームワークがカイゼンされて勝利はするが。