アタックNo.1 第94話 どうした鮎原!

 なんかまた必殺技の開発らしい。
 猪野熊、必要最低限のことしか言わないが、結構配慮の塊だな。台詞を逆算すると湯島は猪野熊の差し金らしい。で、以前は湯島にヘロヘロだったこずえも、あれだけボールを湯島にぶつけられて文句の1つも言わないんだから、まぁいわゆる一般的な女ではないよな。
 マネジャーの役を買って出るって、もしかして肯定的なのかとも思ったが、結論まで見るとやっぱり逃げ*1だったようだ。まぁ普通は高校生がそれだけの技術もパワーも無いのに、ヴェテランにかなうはずも無いってのはその通りなのだが、じゃぁ手助けで時間を稼ぎつつ、技術やコツを盗もうという気概は確かになかった。だからこそ猪野熊はコート外に走りに行かせたわけだし、帰ってきたら個人練習をしたわけだ。よくできてる。小学校の道徳のときに習った記憶があるのだが、東京オリムピック時に、選手として呼ばれたつもりがマネジャーをやってくれと頼まれて、その職務に精励するってエピソードがあったが、それに通ずるものはなかった。腕のいいマネジャーが要るのなら、確かに専門でそういうのを雇うはずだろ。
 猪野熊はともかく、湯島の正論にいともあっさりと立ち直る様子を見ると、こずえ自身も心の奥では自分が逃げているということを自覚していたということなんだろう。木山との勝負にわざと負けるってのも逃げの端緒でありながら、だからといって卑怯者とこずえを糾弾するような描写でもなくって、つくづく考えて作られている作品なんだと感心させられる。

*1:そうはいっても、この逃げの態度が結果的に木山からの直接的なイジメから解放されるという流れになっている。