ストライクウィッチーズ 総感

 九条教乙。
 ちょっと気になって第1話と2話を見返してみたんだが、父ちゃん暗躍しすぎだろ!。坂本少佐も、おそらく博士の消息を知っていて、半信半疑で芳佳を連れまわしていたんだろうけど、あまりに彼の思惑通りに事態が進むので面喰っているように見えてしまう。
 で、宮藤博士だが、どうも彼はネウロイの対処方法を途中で解明してしまったらしく、かといって彼のそれまでに得たポジションで言えば、彼自身の力だけで解決するのは無理と判断したようで、わざわざ娘を呼び寄せたんじゃないかと思われる。とんだ喰わせもんだよな。多分彼以外の全員がネウロイ憎しで固まっていて(もちろん坂本少佐もその一人だ)、誰にも理解されないという状況。で、娘は天然で思い込みが激しく、空気に無頓着なのを思い出したに違いない。で、娘の特性を熟知しているから、ちょっとしたほのめかしでどのように動くのかはわかっていたのだろう。正解にたどり着くために娘にどういう状況を与えたらよいのかわかって行動していたわけで、なんとも空恐ろしい話ではある。
 で、ネウロイの正体が何者なのかは最後までわからずじまいであったのだが、それがどうであろうと、結局解決方法ってのは大雑把に言えばネウロイとの和解であり、その具体的手段が人間側の武装放棄であったんだろうなという風に思っている。博士自ら開発した、対ネウロイ用戦術兵器ストライカーユニットを芳佳自ら放棄するというのが戦い最期の描写。
 まぁ全体の構成を概観すると、初期設定ののちのストライカーズ当番回があり、それが終わって残り3話で話の決着をつけたという、どう考えても強引だろというものでありながら、話の〆だけはちゃんと処理したんだなという点には感心する。何せ第1〜2話なんて、台詞の間がほとんど取れていなくて、詰め込んだ感じを受けてしまう。外見、フェチ描写重視とどうしても思ってしまうのだが、戦争終結までの顛末処理もきちんと考えられていることが今となってみればわかってしまうような気がした。
 とまぁ、なんとも乱暴ではあるが、きちんと話の体裁は整えられていたと思う。しかしいかんせん、客寄せ用のフェチ描写重視な作品であって、そこらへん単なる辻褄合わせなんだろうし、それはそれでよい。正直自分だってこのような話立てのまゝ、キャラクターがどいつもこいつもムサい男ばっかりだったら視聴なんてしていなかっただろうし。
 この作品のキモは、たしかに作画にもあると思うんだが、自分にとってはBGMもかなりハイクォリティであったと思う。オーケストレーションが秀逸というか、どのフレーズも、和音をキッチリ聞かせる手抜きのないもので、「たかがこのような萌えアニメに不相応な」と思わんばかりの豪勢さ。もちろん実力派声優をふんだんに奢った贅沢な仕様。目に耳にこれ以上は無いといわんばかりの心地良さでしたよ。
 確かに表面ヅラを軽くなぞるだけだと、単なる軽薄な作品と見えてもおかしくはないけど、脚本部分でも結構な作りこみはなされていると思われた。別に恥も外聞もなくオタクの部分を露出して萌えキャラのデータベース消費をしてもよし、細部の作りこみを突き詰めてもよしと、各人それぞれの楽しみ方ができる作品だったと思う。話の深さについてはどうしても奥行きが足りない感はあるのだろうが、萌えアニメの仮面を剥がしていく作業はそれなりに楽しいと思う。まぁあからさまに他人にオススメするような作品ではないが、多分投入した資金相応の出来には仕上がっていると思う。おもろ+。