ドルアーガの塔表1話をなぜか見直していた。

 ざっとだけどね。
 しかし今になって、ジルだのニーバだのが下層労働者(ちなみにそう見るとケルブ達ウルク国軍は公務員とでも、ジルたちを派遣と見てウルク軍は正社員でも見なしちゃってもいいんだけど)のメタファーであるってのが最初は全くカモフラージュされていてビックリだわな。もちろん初回でおちゃらけというのがわかっていて、では本編はどうなるの?という期待を煽るというのも、振り返ると唸らされる。しかも大半はジルの自分勝手な夢物語であるってのもね。
 でもって、ジル内ではその妄想がずっと続いていて、最新話でようやっと自分が甘ちゃんであると告白するのだが…。この作品が厳しい社会の現実のメタファーであるということが皮肉にも通り魔事件として現実と妙にリンクしてしまう(いや、敵は間違いないとしても、同士討ちってのは違うとは思うんだが)だけに、一枚の楯になるというのが共感を受けてしまうってのが厳しい。
 実は言うだけ野暮なのだが、結局この期に及んでもドルアーガを倒すジル自身の動機では無いわけだ。あれだけ糾弾されてたのに。しかも楯ってのはジル自身が慟哭していた英雄気取りそのものではないかと。
 しかし、じゃぁブルークリスタルロッドを手に入れて叶えたいジル自身の目的が具体的にあったとして、そういう動機が周囲をまとめて突き進んでいく原動力になったのか?と言われると、それも無いと言わざるを得ないんだよな。やっぱ自分のことだけじゃんと見なされ、いくらジルが他のメムバーを凌駕する実力なりがあったとして、周囲はジルの目的実現の捨石となってしまうわけで。ジルが自分自身の願いを持たないからこそ求心力を持ち、その団結が世の中を変えていく(かもしんない)という流れは確かに納得がいくものである。カーヤがジルを糾弾する根拠として「オレがオレが」という願望を持っていないことが数話前にはむしろ説得力をもっていたのだが、それが実は何の前進力にもならない、足の引っ張りあいにしかならないってのがパズズとニーバの争いであったりするわけだ。しかし、ジルが受ける3つの裏切りってどうなるのかな?。
 自分自身の利益のことばかり考えて国民を捨石にしている今の政治屋がまさに日本を喰い物にしているというのが、ホントにタイムリーだわな。