ef - a tale of memories. 第3話「paradox」

 少女漫画家、ドツボに嵌りまくり。
 前回からの切れ込みがアヴァン早々深い深い。そういう設定を疑問に思わずに、視聴者はただひたすらその中で繰り広げられる物語に没頭してくださいって態度でなくて、ディテールを積み上げることによる誘導が心地良い。
 もしかすると13時間経つと忘れてしまうってのは普通の人間にも関連があるのかと思って調べてみたが、ネット検索では見当たらない。エビングハウス忘却曲線というのがあって、無意味な綴りを何時間後に何㌫覚えているか実験したものをグラフ化したものを参考にすると、近いところで9時間で36%、24時間後で26%覚えているということだから、13時間だと三分の一は覚えていられるってことだろうか。
 また、人間の記憶の過程というのは

  1. 情報を憶えこむ、記銘
  2. 情報を保存しておく、保持
  3. 情報を思い出す、想起
  4. 記憶されていたことを想起できなくなる、忘却

 ということらしい。どうやら普通の人間は保持はできるが想起ができないことを忘却と言っているみたいなのだが、ガンタイちゃんは13時間すると保持されていた記憶が消失してしまうっぽい。ちなみに日常生活ができるのは、交通事故以前の記憶は保持されていることによるものだそうだ。なるほど。まぁ確かにちょんまげクンを覚えているということは努力なしにありえないってのはなかなかにして切ないし、重たいわな。
 しかしアレだ、ガンタイちゃんの「自分が他人を忘れるのは平気だ*1が、自分のことが他人の記憶から消えるのは辛い」ってのはよく使われるモチーフだわな。自民党の議員がなぜ戦後なくなったはずの位階制度を復活させてまで追贈にこだわんのかを考えると、これまた切ない。売国行為で従一位大勲位だの正二位だの、搾られる国民にとっては迷惑千万だわな。そんなに後世に語り継がれたいかと。ガンタイちゃん自身が臆病と評しているように、本当は望むべきモンでもないんだろう。自分がかけがえのない存在でありたいという欲求は別に非難されるべきもんでもないから、それは大切に思ってくれる誰かを見つけて、周囲に迷惑をかけず二人だけの世界に浸ってくださいってトコですかね。二人だけの世界に閉じこもられても困るってこともあるでしょうが。
 まぁ冷やかしはともかく、人と人とがつきあうというか繋がるということに覚悟を要するという仕立てはなかなかにして引き締められますよ。中途半端な気持ちで人付き合いをして、どちらかもしくはお互いが欲のぶつけ合いをして振り回すってパターンが多いのに、ガンタイちゃんの臆病というか控えめな性格がなかなかにしてバランスが取れているというか。上記でガンタイちゃんの特例であるとは言ったんだけど、「出逢った時の新鮮な気持ちを忘れない」とか「相手を真剣に想う」ってことをうまく引き立てているとは思う。ありえない事象から気付きにくい現実をうまく切り取っていますわな。
 なんかAパートでおなかいっぱいというか、Bパートもそれなりに面白かったんだけど、感想を続ける気にならないや。

*1:そりゃそうだ。