きょうのいきいきホットラインは

 キましたよ!。やっぱり主婦の味方いきいきホットラインはこうでなくっちゃみたいな展開。
 今日のゲストは日本女子大学教授 大沢真知子格差社会で男女雇用のありかたを語るという突き抜け具合がまた素晴らしい。いろんなお花が満開でしたよ。
 それでも視点として面白い情報はあったわけなんだが、それはおいおいとりあげていくとして、今日も中盤からの聴取になります。
 聞き始めは働き方の自由度を上げるメリットを主張していた。極言すると企業は個人の働くスタイルに合わせて変わるべきと。別に自分探しを会社でやるなとは言わないが、いくら企業が営利団体とはいえ、その企業の活動はタテマエ上社会貢献って側面がある*1わけだから、まったく個人というものを持ち上げて企業を従属せしめるってのもちょっとおこがましいと思ってしまった。もちろん営利目的で企業が被雇用者を全く圧迫するというのも考えモノ…というより、今はそれが行き過ぎという段階すら飛び越えて社会的に大問題になってはいるわけなんだが…だが、そこは相互相補的であるべきというか、バランスを考えないととんでもないことになるというか。
 個人がやりたいことばっかりやるというのは、そりゃ理想的かもしれんが、それを許していけば誰もが忌避する仕事ってのもあるわけで、それは誰がやんの?ということになる。成果主義で成果を出した社員がご褒美に好きな仕事を選べるとしてしまった企業は、その“出来のいい”社員が数字上成果の出やすい部署ばっかりを志向して、不人気部署は成果も出ないし当然報われないしで士気ががた落ちして、会社全体としてみればハゲタカばかりがやりたい放題になってしまった某電気系のF士通みたいに、凄惨な状況になる。成果主義とリンクさせなくとも、じゃぁ、その構成員全員がやりたい仕事をやれるように誰がどのように調整すんの?と考えた時に、やっぱりこのゲストの言っている事は現実味の全くない絵空事のように聞こえてしまう。
 まぁそんなわけで、前提からしてありえないところから出発しているようなんで、後の話題もきっかけとして面白く考えられるハズなんだが、どうにもツッコみばかりが先に立ってしまった。非正規雇用を無くすために、うまくいっていると思われる国をテストケースとして挙げていた。一つはデンマーク。失職すると強制的に職業訓練校に通わされるらしい。あそこは労働組合がそういうことをやっているらしく、訓練中は8割の給料が出るらしい。ただしそのための社会負担はかなり大きいとのことだ。まぁぶっちゃけ税金が高いってことだろう。ただ、日本のよりあちらの労働組合のほうがより社会的な問題として雇用・失業問題を重大に考えているということだろうから、方法や結果はどうあれ、素直にうらやましいとは思う。日本の場合、よっぽどのスキルがないと(営業だったりすると前職場の取引先を土産とでもしない限り)、再就職は難しい。別に今にはじまったことではないと思うんだが、人間関係がそこそこないと、基本的に雇われ人というのは日本ではずっと使い捨てであった。少なくともデンマークではあんまり人を使い捨てにするような文化がないんだろう。想像だが。
 もう一つの理想例としてオランダを挙げていた。オランダは週に男は4日、女は3日働くというワークシェアリングがなされているらしい。が、九州よりちょっとでかいぐらいの面積に日本の約八分の一の人口、日本より人口密度は大きいんだが、国土の7割が山地の日本に比べて、国土の7割が平地のオランダだとどうかと思わんでもない。輸出するほどの天然ガスが産出され、鉱工業が発達、農業は集約化がほぼ完了*2と、第二・三次産業のゆくえはちょっとわかんないが、大体産業の構成としてやれることは大体やっているというところも大きいと思う。簡潔に言うと、産業がある程度完結しているからこそ労働力の推算が出来るんだろうということ。要らない労働力(時間)は地域コミュニティの充実なり子育てなりという社会の構成力に振り分けて下さいってことなんだろう。
 最後男も子育てをしたがっているなんて話を振っていたが、まぁ的外れだろう。結局雇用が厳しいことを改善していく流れの中で、女性の地位向上を図っているのがアリアリで、別に女性が地位に見合う責任や仕事を果たすというのであれば全然問題はないんだが、というかむしろ女性でないとうまく回らない職場もやっぱりあるわけで、そういうとこではドンドンやっちゃってくれていいんですが、まぁ格差社会とは別問題と見るべきだろう。Wikiによると、オランダは低価格政策をとっているわけで、だからといってデフレと騒いでいる様子も見受けられない。ワーキングプアの問題は長時間労働に拘束されて、見返りがすずめの涙というのがかなりの問題なんであって、例えばその辺もどうせ残業代を出さないんだったらせめて時間ぐらいはあげなさいってので少しは改善する問題なのだ。自分の時間がないからそこを金で補うところが、報酬をくれないってのがもう悪循環になっているわけで、せっかくのデンマーク・オランダを紹介するんだったら、せめて現実味のあるそこらへんに切り込んでほしかったところ。
 全体的に振り返ってみると、よその芝生が青く見えるから、いいとこどりだけをしたいって感じしか受け取れなかった。デンマークにせよオランダにせよ、キレイに見えていても裏側はドロドロとしているわけで、そう簡単にいいとこだけ導入できるはずもないと思うんだがなぁ。スウェーデンの福祉大国という虚像が崩壊したように、いずれこの国々に対する羨望も色褪せると思うんですけどね。まぁ若者(国民)の時間配分を社会的にどう考えていくかは深いものがあると思うので、また別エントリーで述べてみたい気はする。

*1:私企業だろうと公務員だろうと、設立の違いはあれど、よっぽど搾取という性質が強くない限り、どちらも仕事による社会貢献をしている、というのが私の立場。自分的には「公務員は保護されやがって」と言い、公務員の立場を下げる政府の扇動には与せず、むしろ私企業に雇われる被雇用者を保護するべきと思っている。

*2:ちなみにチョコレートやタバコが産業として成り立っているんだが、旧植民地からの原料を使用した加工貿易が未だに余禄の獲得に貢献しているってのはうらやましい。某国はWW?で負けて旧植民地を失って、そこから富を生み出すことができていないのに。