シュタゲ総評

 はじめは何の物語なのか、何が言いたいのか、オタクの痛い生態を見せて何がしたいんだろ?と訝しがることこの上なかったが、終わってみればかなり楽しませてもらったとしか言いようが無い。おかりんがマッドサイエンティストを気取ってタイムマシンを開発しようとするのだが、そのおかげでかけがえの無いものを失うことになり、それをタイムマシンやタイムリープなどのギミックを使って取り戻すのに非常に苦労をさせられるという流れになっていた。その中で鈴羽がおかりんを救世主として持ち上げるのだが、彼は自分の行動を見つめることによって自分にとって本当に大切なものは何かというのを見出していく。いろいろな修飾はあるが、こんだけのことを言ってるだけなのかな?。まぁ自分が大学生あたりの頃の学生って、動機はどうあれなにかユメだのキボーだのを持って自分にも何かやれることはあるんじゃないか?との期待を胸に就職したりしてたと思うんだが、実際就職してみると厳しい現実に叩きのめされ、ローゼンメイデンでも言われていた「生きるということは戦うこと」なんてのを実感させられるってアレだろ。そういった意味では、本作はオタク向けと言ったりしたが本質的には一般人にも通じる内容ではある。
 しかし、タイムマシンだのタイムリープだのといったギミックには惑わされたな。タイムマシンはまさに同じ世界の時間を行き来するって感じなんだが、タイムリープは基本並行世界を移動するだけだろ。自分がドンくさいだけなんだろうが、どちらもごっちゃになっているような気がして混乱した。まゆしぃを助けるためにおかりんが世界線を移動するのだが、そこで行動して失敗して他の世界線に移動してももその世界線での結末は変わらんわけだろ。つまりおかりんは仮想経験をしているだけなんだが、演出のせいでどうもおかりんと共に絶望感を味わっちゃうんだよな。
 あと世界線を移動しても記憶が持ち越される点。おかりんはそういう設定という風にしないといけないのはわかるんだが、他のキャラにも記憶が残るってのがご都合主義だ。が、やっぱり他のキャラにも記憶が残らないと視聴者を感動させられないのもわかる。まぁこゝは「記憶を共有する」ことの重要さを示唆しているとでも考えるべきなんだろう。まどマギでも「他の誰もが忘れても自分だけは忘れない」なんて覚えていることに価値を置いていたが、それよりも一歩踏み込んでいるんだろう。が、タイムマシンものとしては矛盾していると考えざるを得ない。
 そういうわけで、前にも述べたが、本作は徹底的に技巧的なんだよな。人を感動させるためには何でも使うって感じの。リアリティを追求しすぎて無味乾燥な物語になるのは本末転倒にしても、こゝまでホンモノでないそれっぽさだけを追求されてもなんか釈然としないものを感じてしまう。が、見ている最中はほとんど気にならないんだよな。視聴者への問いかけが強烈なせいだとは思うんだけど、これは上手い。
 というわけで、自分的には引っかかる部分がありはするんだけど、かなりおもしろい物語ではあった。あんまり言葉を尽くすと見苦しいだけなのでやめておくが、材料のこねくり方が上手いんだよ。ウソ臭い物語のクセに口から手を突っ込んで心臓を鷲掴みにしてグラグラ揺らされるって感じだ。ギミックもそれっぽさだけだからわかりやすいし、むしろ注目してしまったらダメだろう。あくまで問題提起のための小道具と割り切って見るべき。見終わってなるほど他の人が高評価を下すわけだと納得もした。音楽はお気に入りの範疇だけど一押しって感じでもないし、絵もそんなに好みの部類ではない。が、つくりごと感は半端ないが、心を持っていかれる何かはしっかり持っている。おもろ+。
 ん〜言いたいことの半分も書けなかったな。まぁ今眠たいのもあるんで、頭も働いていませんですよ。