荒川アンダーザブリッジ 第3話

 きわめて日本的。
 前回も、河川敷のキャラたちは、多様な個性を持つ人間たちだから、文化的背景も多分に違っているんだろうか?と思ったら、そうではなかったという記述をしたのだが、今回はそれに輪をかけて現代日本の一種のパターンに従っているなというのを感じた。
 まぁまず星の妄想が極めて現代日本的恋愛観だよな。デート、朝帰り。そしてリクの考えるデートもきわめて現代日本的。首相と合うのがデートとしてどうかな?と思うのだが、彼の考える様式はホイチョイあたりが盛り上げていたものゝ極致だ。
 そしてニノの考える過ごし方ってのが、これは現代でなく、ヒマをゆるやかに楽しんでいたちょっと昔の日本のあり方。で、ニノはやはりリクの提供するものが、リク自身のものでないということで拒否。首相と面識のある自分、ヘリコプターを使うことのできる自分、わざわざ二人のために花火まで用意できる自分。どれもこれも凄いモノの権威に頼っていて、リク自身のことについて触れていない。
 ドレスを着てしまうニノの心中は確かに考えさせられた。単純にいえば、それまではリクが権威で自分を飾ることばかり考えていたのが、初めてニノに視点が移ったってことだろう。ただ、ドレス自体はリクの経済力に頼っているのでなんだかなぁとは思うんだけど。やはりニノも女としてキレイに着飾ったりしたかったのかな?とか、いろいろ考えさせられる。
 さて、日本的という視点だが、日本を世代で分けた文化(例えば団塊だとか、バブル世代だとか、ゆとり世代ってのもそうだろう)ってのがあって、そういうのがごちゃ混ぜになっているとは感じる。で、バブル期あたりに多く見受けられる、その人自体を問わない空虚な文化は否定するものゝ、そういう意味的な部分をクリアしていれば、どの世代の文化がいいとか悪いとかってのにはこだわってない。ありのまゝの自分を(いいか悪いかってところまではまだ到達していないと思われる)相手に提示できるか?ってところに重点を置いているように思われる。
 ギャグ漫画としては、ギャグがギャグになっておらず、直球勝負的に本質を考えさせるものになっている時点でアウトなんだけど、自分的にはこういうのが大好きなところ。