少年陰陽師 総感

 だからチヌレじゃなくて、チマミレじゃないかと…。古典モチーフならなおさら。
 ようやっと見終わった。こういった場合、自分なんかは火がつくと割と集中して視聴したりするのだが、見ては止み、見ては止みが結構続いた。なんでかとずっと考えていたのだが、物語にメリハリが感じられなかったからであろうか。途中から気がついたのだが、2クールあって、前半部分と後半部分でミッションが違うんだなと思っていたら、最終回で窮奇編/風音編とテロップが流れて吹いた。確かにそうなんだけど、あまりに前半と後半がシームレスというか、前半は窮奇編というより、彰子編というか、後半は確かに風音編ではあるのだが、話の本筋はもっくんの裏切り編だろ〜と思った。
 で、中盤に至ってもなんかヘンだ…と思っていたのが、主人公が都の夜回りをやっているのに、ほとんど庶民を救う場面がみられなかったことだ。大抵貴族周辺のトラブルだけを解決している。大体主人公が相手にしている敵を倒せばまわりまわって庶民も救われるという説明ばかりで、あんま共感を得にくいというか。そんでもって、昌浩が晴明の孫、マゴ?、世襲三世?と気付くに至って、もしかするとコレは当時の安倍内閣応援アニメなのか?と思うようになった。
 もちろん原作つきの作品ではあるし、全体を見渡しても安倍シンゾー本人を想起させるような描写は見当たらないのではあるが、なんとも不思議ではある。ただ、本作が安倍内閣発足から間もなく放映されており、小泉から安倍へ禅譲されるのはあの当時は誰も反対することがない既定方針であった。で、世耕によるマスコミを使った世論誘導が成功していた時期でもあるから、当時は世論対策費が湯水のようにつかえたのであろう。だから「安倍」という名前を取り上げて、それが世直しをするというイメージを膨らませるために、偶々あった作品を取り上げたのではなかろか?と思うのである。
 陰陽道というのがどんなものであるのか詳しくは知らないのだが、仏教と神道がごちゃまぜになっていて、これはいいんですかね?。確かに天皇自ら日本全国の神社の総代でありながら、仏教を導入したのも皇室であって、宗教がごちゃ混ぜになっていること自体はおかしくないのだが。祝詞や仏典由来の文言が呪文として用いられるのはどうも違和感が。
 で、なんつーかね、最後なんかは風音は救わないのに、もっくんを救うとか、なんか身内贔屓が酷いというか。昌浩の決意の強さを示すためにわざわざ彼の手を汚させているというのに、救って*1しまっては意味がないだろう。で、身代わりに昌浩の命を差し出すとかいっているのに、平気で生き返らせる*2し。もっくんが嘗て晴明を手にかけたという事でかなり初期の段階から敵視している青龍の見せ場なのに、昌浩を手にかけてもほとんど活躍しないとか、何のための地ならしかと。さらに酷いのは当のもっくんが晴明を手にかけて煩悶していながら、昌浩を手にかけたことをスルー。結果としてお仲間だけが全員生き残り、だからハッピーエンドなのかよ…ホント風音だけが救われねぇなと。まぁなんか構成が古いよな。
 さて、この作品の見どころとしては、中途半端かもしれないが、ちょっとした時代考証と、彰子のかいがいしさだろう。ホント彼女が安倍家へ入るまでは危なっかしくてしょうがなかった。あぁ男が所帯を持って落ち着くとはこういう事なんかなというのがちょっとした説得性をもっていたような気がする。いや、もちろんあんなできた嫁ばかりではないと思うが。
 声優は無駄にベテランを用意しているというのか、多分予算的にはバランスが取れているのだろう。絵も音も別に気になるというほどでもなく、十分なクォリティだとは思う。まぁターゲット層からしてちょっとおバカな中高生腐女子向けといったところか。コギャル層だと全く見向きもしないだろうし、小ざかしい知恵がついた層なら、もうちょっと突き抜けた作品を好むだろう。ご都合主義的なところを除けばそんなに悪くはない作品なんだが、アニオタに勧めるか?と言われれば、時間を割いてまで見る作品でもないと思う。普通。

*1:ヤラセかよ!

*2:ヤラセかよ!