RD 潜脳調査室 第26話「リアルドライブ」

 実際に深海に潜って何かを見つけたというお話。
 地球律は一意的にどんなものかと決められるようなものでは無いっぽいが、地球のすべてを水が記憶しているというなにやらトンデモっぽい設定が明らかにされました。なにやら水からの伝言っぽくもあるが、海はエネルギーの塊でありというのは間違いでもないわけで、なんとも判断のつかないことである。徹底的に水にこだわったというのもなるほどではある。蒼井ファミリー最終回に向けて集合だが、水の色である蒼を持ち、主人公のミナモは水面という、水とそれ以外との境界を示す名前が示す通りの行動でもあった。
 概して自然回帰礼讃だと思う。メタルシステムの停止で正常化されるのは、まさに現代技術にどっぷり使って人間性を失っている現代社会批判であろう。が、さすがにそれなしでは既に物事がまわらなくなってしまっているように世界が構成されてしまっているわけで、いきなりすべての技術系を放棄するわけにもいかないんだろう。だから24時間限定の停止だったわけだ。人工島はそれでも技術と自然との調和を考えられたシステムで、それを目指すべきという主張のようにも思える。
 年寄りでも、あくまで生身の体にこだわった波留、あくまでメタル化を保留しつづけていたミナモが主人公なのも、安易に便利な技術に頼るなという主張だと思う。かといって波留はメタル化しているわけではあるが。しかしなんだねぇ。老いたらくの恋の行方は最終回までどうするんだ?と思っていたが、どうやら成就したっぽいし、ホロンもなぜかメタルシステム停止のどさくさに記憶を取り戻したらしく、ソウタとよりを戻したっぽい。なんかどこまで本気なのか良くわかんないな。
 ミナモの将来への展望もなんだかなぁで、やっぱ老人社会への抵抗感を無くすための企画だったのかね?と思わなくも無かった。今、医療や教育システムとともに、介護部門はクライアントの無謀な要求で現場が疲弊してしまっているのだが、理性的な老人像を描けてはいても、この作品自体が老人層をターゲットとしていない以上、そういう意図にどんな結果がもたらされるのかは判断できない。でもまぁあんまりそういう視点で視聴してもつまらないとは思うわな。
 さて、全体的に見て、物腰が穏やかな語り口ではあったが、結構興味深く視聴できた。事実として正しいかどうかは別として、哲学的な要素や現代思想・技術をとりあえず目に見える形に整理して視聴者に投げかけ、考えるきっかけを作ってくれている作品だとは思う。ただし、そこらへん興味が無い人にはポカーンであろうし、唐突に語られても前知識が無ければ、あやふやな状態でいろいろ考えないといけないことにもなり、見る人を選ぶ作品だとは思う。前知識が無くとも、ある程度それを準備しておいた上で物語れば良いんだろうけど、そこはバランスと尺の問題があり難しいとは思う。が、いろんな要素を勘案しても上出来だったと思う。絵も音もキレイで総じてクォリティは高い。ちょっと視聴までにハードルは高いが、見始めてしまえば結構引き込まれる感じがした。こういう作品は形は変われどもいつもやっていただきたいとは思う。おもろ+。